2004年11月25日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 憲法9条を変えると、軍産複合体体制が強まる、それが怖い、といわれました。軍産複合体とはどんなものですか?
(東京・一読者)
〈答え〉 「軍産複合体」というのは、アイゼンハワー米大統領が1961年の離任演説でのべた警告で、アメリカ資本主義の危険な側面の一つをえぐり出した名言として知られています。アメリカでは、軍部と産業界が幾重にも結び、何百万という人間と、何十億ドルというばく大な金を駆使し、全米の都市、州議会、連邦政府の各機関、マスメディアなどに浸透し、影響力を行使。イラク戦争でもばく大な利益をあげています。
“国防政策委員会の30人中少なくとも9人の委員が01〜02年に計760万ドル以上の事業を国防総省から請け負った企業(ロッキード、ボーイング、グラマンなど)と関連がある”と米国NPOの政治倫理センターは伝えています。
日本では憲法9条があることから、三菱重工をはじめかなりの軍需産業はありますが、「軍産複合体」の本格的形成には至っていません。しかし、いま重大な岐路にあります。
トヨタの奥田碩会長、ウシオ電機の牛尾治朗会長らが9条「改正」の旗振りとなっている理由は、自動車、通信、IT産業などが、軍事同盟の強化、改憲による軍事国家日本の実現で、軍需を拡大することを望んでいるからで、新しい日本の「軍産複合体」の形成につながるという指摘もあります。すでに、日米巨大軍需企業が参加する「日米安全保障産業フォーラム」が活動を開始し、武器輸出3原則の見直しや大軍拡へのプランをすすめています。
改憲がもし実現した場合、「軍部の政治力増大と軍産体制の政治への圧力の強まり」は、言論報道の自由をはじめとする基本的人権の抑圧など、憲法の自由と民主主義の原則の破壊に向かう政治の反動化、新しい日本型軍国主義の危険に直結します。改憲に反対する広大な共同をつくっていく上で、この危険性を知らせることがいま、非常に大事になっています。(喜)
〔2004・11・25(木)〕