日本共産党

2004年11月24日(水)「しんぶん赤旗」

「都市再生」の名で国・都が推進

払下げ国有地に経団連移転

地元同意なしに審議会強行


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 都心の超一等地の国有地が払い下げられ、そこに日本経団連などが移転する――。小泉内閣や東京都が「都市再生」を看板にこんな計画を進めています。計画推進の企画会社社長には日本経団連事務総長が就任。地元・千代田区が基本合意書に参加しないまま払い下げが決められるなど“異常事態”が進行しています。

 問題の国有地は、東京・千代田区大手町の大手町合同庁舎跡地(約一・三ヘクタール)。財務省は当初、競争入札で売却する予定でした。

 しかし東京都が二〇〇二年、同跡地は大手町のまちづくりに役立つ方法で処分してほしいと財務省に要請。翌〇三年一月、政府の都市再生本部(本部長・小泉首相)は「大手町合同庁舎跡地の活用による国際ビジネス拠点の再生」として第五次都市再生プロジェクトに決定しました。

 同本部は跡地を最初の代替地として、大手町地区のビルの「段階的かつ連続的な建て替え」をすると説明。跡地に建て替えを希望する企業が移転し、さらにその企業の跡地に別の企業が移転する仕組みです。

随意契約でより安く購入

 プロジェクトを進める中心は、東京都、千代田区、日本経団連や三菱地所などの地権者でつくる「大手町まちづくり推進会議」。競争入札ではなく、随意契約でより安く同跡地を購入するためにまず、都市再生機構が土地区画整理事業をおこない、つづいて「有限会社大手町開発」が再開発をおこなうという二段階の方針です。この「大手町開発」に拠出・出資をし、実際の企画・立案をするのが「大手町まちづくり株式会社」。代表取締役には日本経団連事務総長が、取締役には三菱地所社長などが就任しています。

 同推進会議は問題の跡地に移転・建て替えする対象に日本経団連や日本経済新聞社などを“内定”しました。日本経団連は今年五月の第三回定時総会で、移転検討を報告しています。

 払い下げ方針の決め方も異常でした。

 財務省は一定規模以上の国有地を随意契約で売却する場合、国有財産地方審議会に付議すると規定。今年六月に都市再生機構(当時、都市基盤整備公団)に随意契約で売却することを付議、決定しました。

透明性に問題千代田区主張

 しかし当時、東京都や都市再生機構と地元の千代田区は意見が対立していました。千代田区は、国有地をもとにしているのに「大手町開発」の手法は公平・公正・透明性からいって問題があると主張。財務省が審議会で付議する際に関係者に要請した基本合意書への同意もいったんは拒否しました。(その後十月になってやっと同意)

 財務省は千代田区の同意なしに審議会を強行。千代田区の態度についても出席した委員らに説明しませんでした。

 日本共産党の木村正明千代田区議は、「災害での住宅再建では自己責任を強調するのに、民間企業の建て替えには国有地を払い下げる。こんなやり方にはとうてい納得できません。問題の跡地については災害対策に必要だという意見もある。国民の共有財産にふさわしいあつかいをする必要がある」と指摘しています。



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