2004年11月19日(金)「しんぶん赤旗」
|
|
育児・介護休暇の取得を有期雇用労働者にも広げる育児・介護休業法改正案。仕事と子育て、介護の両立を願う切実な声にこたえるためには何が必要か。十七日の衆院厚生労働委員会で、日本共産党の山口富男議員の質問から浮かび上がったものは――。
同改正案は、育児休暇を申請する要件として(1)雇用された期間が一年以上(2)子どもが一歳になる日を超えて引き続き雇用される見込み――を定めています。
厚労省の調査で、有期雇用の契約期間は一年未満が93・4%。「三カ月、六カ月などの短期雇用を繰り返しながら、実際には長期雇用」(山口氏)になっています。
厚労省が二〇〇二年に出した指針では「期間を定めて雇用されている者でも、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児休業及び介護休業の対象となる」としています。今回の法改正では、一年に満たない短期契約を繰り返している労働者にも適用されるのかが焦点でした。
山口議員 実態にかみ合って育児休暇がきちんととれるようにすべきだ。
尾辻秀久厚労相 「指針」の考え方、取り扱いは変えない。
法改正後も「指針」の考えが適用されることによって、契約更新を繰り返して一年以上雇用された労働者も育休取得が可能になります。
改正案では、現行制度の一歳から一歳半まで半年間、育休期間の延長が可能になります。
山口 半年間の延長にした根拠は何か。
伍藤忠春雇用均等・児童家庭局長 統計では四分の三程度は、六カ月ぐらいの延長で保育所に入れる。
山口 それは「希望する時期から入所できた世帯の割合」だ。
実際、日本労働研究機構が二〇〇三年九月に出した報告書では、育休期間の延長について、半年間は4・2%にすぎず、一歳六カ月から二歳未満が17・2%、二歳六カ月から三歳未満が31・6%となっています。山口氏は、国家公務員で認められている三歳未満まで民間も認めるよう求めました。
育児・介護休暇をとりにくくしている問題の一つは、取得した人にたいする不利益扱いです。
ニッセイ基礎研究所の調査では、休業期間が一―二カ月の場合は30%の人が、六カ月だと54%が昇給、昇格などに「影響が出る」と答えています。
山口 不利益な取り扱いがあった場合は、指導・勧告を含めて対応する姿勢を示すべきだ。
伍藤局長 各都道府県の労働局で事案を把握し、適正な指導につとめていきたい。
改正案では、介護休暇について、一回限りだったのが「介護を要する状態になったごと」に取得できるようになりました。看護休暇もすべての事業主に義務化され、年五日となります。
日本労働研究機構の調査では、子どもの看護のための休んだ日数について、女性では「六日以上」が二割、「十日以上」が三割を占めています。
山口 五日間で固定化しないで広げていく選択肢も考えるべきだ。
伍藤局長 今後の施行状況をみて、吟味していく。
山口 法改正後の施行状況もみながら、(制度全般について)引き続き必要な改善を積み重ねるべきだ。
山口氏の追及に尾辻厚労相も「今後も適切に対応していく」と答えました。