2004年11月18日(木)「しんぶん赤旗」
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ノリや漁業不振を招いた諫早湾干拓事業の中止を求めている有明再生全国ネットは十七日、ことし八月の事業中止の仮処分決定を受け、谷垣禎一財務大臣にたいし「事業再開を前提にした予算措置を講じないこと」や、中長期開門調査の代替策にも予算を組まないよう求める要請書を提出。上田勇財務副大臣と交渉しました。
交渉には、「よみがえれ!有明海訴訟」原告団・弁護団の代表ら約十人が参加。日本共産党の仁比聡平参院議員、大門実紀史参院議員、赤嶺政賢衆院議員が同席しました。
上田副大臣は「予算編成にあたっては、地元の状況をよく留意した上ですすめていきたい。担当者や大臣にも趣旨をつたえる」と応じました。
要請書は、「(工事中止の仮処分決定は)有明海漁民が、暗闇の中でやっと手にすることができた希望の光」とのべ、農水省が工事再開の見通しすらない諫早湾干拓事業に約百五億円の予算を要望したことを批判。財務省にこうした予算を組まないように求めています。
岩井三樹・諫早湾の干潟を守る長崎県共同センター事務局長、同訴訟弁護団の堀良一弁護士らは「不漁で漁民の自殺もおこり、地域が破壊されている」「農水省の中長期開門調査の代替策は有明海の環境を悪化するもの」と、事業再開の予算措置をとらないように強く要請しました。
仁比参院議院は「漁業影響は有明海沿岸四県に著しくでている。有明海の再生と干拓事業中止を求める漁民の意見を踏まえるべきだ。法的に執行できない予算を組むのは重大な問題で、司法の判断を政府は尊重すべきだ」と指摘しました。