2004年11月16日(火)「しんぶん赤旗」
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“失業者にたいする公的な雇用保障”として大きな役割を果たしている「緊急地域雇用創出特別交付金」が、来年三月で打ち切られようとしています。失業者や自治体、労働組合などから、継続を求める声が広がっています。
この事業は、倒産・失業増のもと、国・自治体による失業者対策を求める世論と運動に押されて一九九九年に創設。「地方公共団体が地域の実情に応じ、緊急かつ臨時的な雇用を創出する事業を実施」するとして、二〇〇一年に名称を変えて継続されました。
これまで三回にわたって六千三百億円が交付され、教育・文化、福祉・保育、環境、地域振興など住民生活に役立つ各種事業を自治体で実施。六年間で八十三万人の雇用と就労をつくりだしてきました(〇四年度見込み含む)。今年度も、事業額約千二百億円で約十三万人の雇用効果を見込んでいます。
「雇用状況はいまだにトンネルを抜けきっていない。こういうときに、これほど確実に成果をあげてきた基金を打ち切ってしまうのは、あまりに問題が大きい」――。
九日の参院厚生労働委員会で、日本共産党の小池晃政策委員長は、失業者や自治体の願いを受けとめて雇用創出交付金の継続を強く求めました。
存続を求める声は、三十二都道府県、五百三十六市町村にのぼり、全労連、連合も一致して継続を求めています。与党のなかにも再検討を求める声があがっています。
交付金事業を打ちきる口実に厚生労働省は、雇用情勢の「好転」などをあげています。
しかし、完全失業者は三百万人をこえ、三分の一は一年以上の長期失業です。完全失業者のうち失業給付を受給している人は20%にとどまり、半数近くは無収入です。
短期のつなぎ就労であっても、労働者に仕事を提供する緊急の雇用対策が求められています。
厚労省は、交付金事業は新たな施策に引き継ぐとしています。
ところが、来年度予算の概算要求を見ると、「コンテスト方式による雇用創造効果の高い事業に取り組む市町村等への支援」など七十億円。毎年一千億円を超える交付金とはケタ違いに少ないうえ、助成対象も狭められ、交付金事業に代わる施策と呼べません。
例えば、〇三年実施された「地域雇用受け皿事業特別奨励金」。
三人以上の離職者を雇い入れた場合に奨励金などを支給する制度で、予算額一千億円で二十三万人の雇用創出効果を見込んでいました。しかし、サービス分野で新しく設立された会社に限定するなど要件が厳しく、九月までの実績は約千七百万円、わずか十五人。“絵にかいたモチ”です。
小池氏は「効果があがっていないような制度は見直して政府も効果を認めるものに力を注ぐべきだ」、「期限が切れるなら、それに代わるような形でも施策を継続すべきだ」と迫りました。
尾辻秀久厚労相は「受け皿になるようなものはできるだけちゃんとしなければいけない。いま行っている施策も検証しながら努力しなければいけない」と答えました。