2004年11月15日(月)「しんぶん赤旗」
国立大学法人化が、大学の教育研究に影響を及ぼしています。新潟県中越地震の発生直後から被害状況などの調査にあたってきた新潟大学地質科学科では、研究教育費が三年前と比べ三割以下に落ち込み、研究者らが自腹で現地調査を行わなければならないなどの事態に直面しています。
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「中越地震新潟大学調査団」に十人の研究者が参加している理学部地質科学科では、研究予算がこの間激減しました。
国立大学法人への移行にともない、教育と研究の基礎単位での配分が削減されたのです。三年前には二千六百六十万円配分されていた研究教育経費が、今年度は七百五十三万円に落ち込みました。
学科運営に必要な最低限の経費、非常勤職員の人件費を差し引くと教員一人当たりの配分額は十七―二十四万円にしかならず、地震が発生した十月末の時点ではほとんど底をついていました。
研究者らの窮状が大学当局に伝わり、十一月九日には、学長裁量経費から急きょ三百万円をメドに調査費を出すことが決まりました。
現場の研究者はこれを歓迎しながら、「複数の学部で調査団を構成しており、他大学とも協力しながら活動している。大学からの手当てだけでなく文科省としての支援も求められている」と話しています。
国立大学法人化 今年四月から国立大学の設置者が国から法人に変わりました。六年ごとの中期目標・計画を文科相が定め、認可。各大学はこれにそった“効率的な経営”を求められるしくみです。「競争的経費」への学内予算の集中や、雇用保険費用をはじめ法人化に伴う新たな出費などが基礎的研究予算を圧迫し、各地で矛盾が噴出しています。 |