2004年11月14日(日)「しんぶん赤旗」
プルトニウム循環路線 |
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日本原子力研究所(原研)と核燃料サイクル開発機構(核燃機構)を統合して独立行政法人化する法案の審議がおこなわれた十日の衆院文部科学委員会で、石井郁子議員は法案が前提としているプルトニウム循環方式の行き詰まりは明らかだと強調。危険な実用化路線は撤回すべきだと求めました。
石井議員は、一九九四年の原子力長期計画で、高速増殖炉「もんじゅ」の運転やプルサーマルの実施で余剰のプルトニウムは持たないとしていたことを紹介。「もんじゅ」の運転は見通しが立っておらず、プルサーマルに対する住民の反発と不安は大きいと指摘しました。
政府は二〇〇二年の時点で四十トンのプルトニウムを保有していることを明らかにしたのにたいし、石井議員は「プルトニウムの使い道はまったく頓挫(とんざ)しているのが実情だ」とのべ、プルトニウム循環路線の撤回を求めました。
石井議員は、原研の安全予算が一九八九年度には百二十八億円だったのに、二〇〇四年度には十九億円に減少していることを明らかにさせたうえで、抜本的に増やすよう求めました。
中山・文部科学相は驚いた様子で答弁に立ち、「減っていると思う。安全については最優先に措置すべきと思う」とのべました。
日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を統合し独立行政法人化する法案が十日、衆院文部科学委員会で自民、公明の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
石井郁子議員は反対討論で、新機構の目的と業務に「核燃料サイクル確立のための高速増殖炉と核燃料物質の開発」が掲げられていることを指摘。「プルトニウム循環方式推進という危険極まりない政策は中止すべきであり、推進を前提とした今回の統合・独法化は認められない」と批判しました。
新基地ボーリング調査 |
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赤嶺政賢議員は九日の衆院沖縄北方特別委員会で、米軍普天間基地に代わる新基地建設について、防衛施設庁が強行をねらうボーリング調査の問題を追及しました。
赤嶺氏は、名護市辺野古沖のジュゴンの藻場がある海底に六十三カ所の穴をほり、やぐらを立てる同調査について、「環境の破壊につながると考えないか」とただしました。小池百合子環境相・沖縄担当相は「環境(影響評価の)手続きの中で行われている」と答えました。
赤嶺氏は、同調査が環境影響評価の対象になっていないと指摘。環境省の桜井康好審議官は「環境影響評価法で今回のような行為は対象事業とはなされていない」と認めつつも、「最大の環境への配慮を行うよう防衛施設庁に対し助言した」と言い訳しました。
赤嶺氏は小池環境相のあいまいな認識について、「こんなひどいことをやって、沖縄の環境が本当に守られるのか」と追及。事業者が事業の内容や調査方法の情報を住民や専門家に提供することが「方法書」の手続きを導入した趣旨であるにもかかわらず、今回の「方法書」では「情報提供して環境を守るという努力をやっているようにはみえない」と批判しました。小池環境相は「環境保全については、より厳しく、自然環境を生かす沖縄を念頭において仕事する」とのべました。
納税者の権利 |
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吉井英勝議員は十日の衆院内閣委員会で、税務行政において納税者の権利を尊重するよう求めました。
新潟税務署は今年六月に続いて九月にも、消費税の課税事業者に該当するしないにかかわらず、「新たに消費税課税事業者になる方は、消費税課税事業者届出書を九月二十一日までに提出するように」との文書を管内の事業者に送付しました。
ところが、受け取った業者が簡易課税の選択届を出したものの、その後本則課税への変更を税務署に申し出ても拒否される事態が起きています。
この問題を指摘した吉井氏は「簡易課税の選択届は経過措置として来年の課税期間中の提出でもよく、取り下げを認めるのが当然だ。認めない規定があるのか」と追及。
国税庁の村上喜堂次長は「取り下げは可能。部内で取り扱いが違うということであれば周知徹底させる」と答えました。
吉井氏が「税金を取る方は一生懸命だが、是正する方はきちんとしない。『税務運営方針』を徹底させて、納税者の権利を尊重すべきだ」と強く求めたのに対し、村上次長は「周知徹底を図っていく」と答えました。
台風被害の兵庫・豊岡 |
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参院災害対策特別委員会は十日、台風・豪雨災害についての参考人質疑を行い、参考人から被災者生活再建支援法の改正を求める意見が相次ぎました。
台風23号で甚大な被害を受けた兵庫県・豊岡市の中貝宗治市長は、被災者生活支援法が、大規模半壊の場合の生活必需品に適用されず、収入要件が実態に合っていないとのべ、「支援の輪をもう少し広げる必要がある」と強調。代表的な地場産業のかばん産業が壊滅的打撃を受けており、「産地の存続はこの二カ月にかかっている」とのべ、国の支援を求めました。
東京大学大学院情報学環・学際情報学府の廣井脩教授は、被災者支援法が住宅本体の再建に使えず、収入要件や年齢制限が厳しく働きざかりの四十代、五十代は五割以下しか適用されないなどの問題点を指摘し、住宅再建制度の充実を求めました。
仁比聡平議員は「被災者が生活、営業の再建に希望をもてるようにするのが政治の責任だ」とのべ、豊岡市の生活、営業の被害実態、再建の見通しなどをたずねました。
中貝市長は「家は残っていて、鍋と釜があれば食べていけるという方に差し伸べる手が見当たらない」とのべ、現行制度が被災者の生活再建にとってさまざまな制約をもっていることをにじませました。