日本共産党

2004年11月13日(土)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

義務教育費国庫負担制度堅持を

機会均等、無償制を保障

参院委 小林議員が主張


写真
質問する小林みえこ議員

 「三位一体改革」の焦点として国と地方の協議で取り扱いが注目される義務教育費国庫負担制度。憲法と教育基本法に定められた教育の機会均等、義務教育の無償制を保障するためになくてはならないものです。日本共産党の小林みえこ議員が十一日の参院文教科学委員会でとりあげ、歴史にもさかのぼり、制度「堅持」を強く主張しました。

教訓を生かせ

 小林 シャウプ勧告により一九五〇年に一度廃止されたこの制度が、三年後に復活した理由は何か。

 銭谷眞美文科省初等中等教育局長 小学校の一学級あたりの教員数が減少するなど教育条件が全国的に低下し、地域間格差も拡大した。地方財政への圧迫も大きく、復活を求める声が教育界や地方からあがった。


 全国知事会など地方六団体は、同制度を含めた補助金廃止を政府に求めています。しかし、歴史をふりかえれば、制度が教育水準の確保に大きな役割を果たしてきたこと、制度復活が地方の要望だったことがわかります。同制度をなくせば、地方に税源移譲をしても四十道府県で減収となり、地方に格差が生じます。小林議員は「歴史の教訓を生かすべきだ」と主張。中山成彬文科相も「そのことを私も繰り返し指摘している」と応じました。

グラフ

旅費や教材費は

 小林 旅費や教材費が一般財源化され、教職員や子どもに影響が出ていないか。大阪では旅費が20%カットされ、遠足の下見に行く教職員の人数を減らしている。

 初等中等局長 教材費も措置率が低い。学校現場からは「掛け地図が古くて国名が変わらない」「ピアノが古くて時々音が出ない」などの報告を受けている。


 義務教育関係の費用のうち、かつて国庫負担の対象だった旅費・教材費は一九八五年に一般財源化されました。その影響が子どもたちにも現れていることを、文科省も認めました。答弁によると、本来手当てすべき基準との比較で、二〇〇三年度の教材費の予算措置率は75・7%(グラフ)、旅費は84・1%。教材費の措置率が低い理由に、八割以上の自治体が「財政上の事情」をあげたといいます。

市町村に負担

 小林 現行制度で、公立小中学校の教職員給与を市町村でなく県と国が負担している理由は何か。

 文科相 市町村の財政上の重圧を除き、一定水準の教職員給与費を安定して確保するためだ。小さい自治体では財政力の弱いところもあり、県費負担になっている。

 小林 では、市町村負担を持ち込むのは県費負担制度の否定ではないか。行うべきではないし、国庫負担率も引き下げるべきではない。


 公立小中学校の設置者は市町村ですが、教職員給与は都道府県が負担しています。その半分を国が負担するのが義務教育費国庫負担制度です。制度「堅持」の声をあげつつ、“教員給与を握ることを通じて教育に国が関与したい”との思惑もある自民党文教族からは、補助金カットと国の関与維持を両立させる妥協案が浮上しています。国の補助率を三分の一に引き下げ、都道府県と市町村に三分の一ずつ負担させるというのがそれです。国と都道府県が各五分の二、市町村は五分の一とする案も出ています。

 小林議員は、市町村に新たな負担を求めることを厳しく批判しました。負担率引き下げについて、中山文科相は「そういう報道があるが、二分の一負担しようとがんばっている」と答弁しました。

 シャウプ勧告 一九四九年、米国の経済学者シャウプを団長とする使節団が連合国軍最高司令官であったマッカーサーに提出した、日本の税制に関する報告書。地方自治体の財政力の強化、均等化を図るため、国庫補助負担金をやめ地方交付金をつくるなどの内容を含んでいました。




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