2004年11月12日(金)「しんぶん赤旗」
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参院文教科学委員会は十一日、義務教育費国庫負担制度についての参考人質疑を行いました。ノーベル賞受賞者の小柴昌俊・東京大学名誉教授、全国知事会会長の梶原拓・岐阜県知事らが参考人として意見を述べました。
小柴氏は「義務教育の水準が自治体の財政力の差によって左右されてはならない。国がきちんとみていただきたい」と述べました。また日本では教育費が高いことが少子化の一因になっているとして、高等教育まで学費が無償のドイツの例をあげ、「国は考えてほしい」と要望しました。
梶原氏は、「『義務教育費国庫負担金』を一般財源化した結果、税収が不足した自治体には地方交付税で裏打ちすべきだ」と述べました。
全国市町村教育委員会連合会副会長の中進士氏は、今でも自治体によって学校での備品・消耗品の確保や特別支援教育の実施などに差が出ていることを紹介。「国庫負担がなくなると小規模な自治体は持ちこたえられず、図書館司書やスクールカウンセラーが採用できないなど、行き届いた教育ができない状況が出てくるのは目に見えている」と発言しました。
日本共産党の小林みえこ議員は「国庫負担制度は憲法と教育基本法が定めた教育の機会均等、義務教育の無償に基づく制度であり、憲法、教育基本法をしっかり生かす立場から、堅持しなければならない」と主張。小柴氏に「義務教育費国庫負担制度をなくすことにどんな懸念があるか」と聞き、小柴氏は「地方に格差がでて、貧乏な県では教員が減らされるようなことがないか心配だ」とのべました。