2004年11月11日(木)「しんぶん赤旗」
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内閣府は九日、十月の「景気ウオッチャー調査」結果を発表(十日付既報)しましたが、原材料の高騰に加えて台風や新潟県中越地震などの自然災害が景気に影を落としている実態が浮き彫りになりました。各地のウオッチャーから寄せられた生の声をみました。調査期間は十月二十五日から三十一日。
新潟県を含む東北では、「宴会、イベントなどのほとんどがキャンセルや延期になっている」(都市型ホテル)など、中越地震の影響が広がっています。生産・流通の現場からは、「受注は三カ月前比で45%の落ち込み」(住宅販売会社経営者)、「商品調達がままならない」(スーパー経営者)などの声があがっています。
その他の地域でも、台風や長雨の影響で野菜が高騰し「野菜を使った料理は主婦層から敬遠されている」(東海のスーパー)との見方も報告されています。
企業関連では、「収益が悪化しつつある」(四国のレストラン)といった状態が表面化。経営者からは、災害への不安感などが消費者の購買意欲を弱め、消費の落ち込みにつながるのではないかとの懸念が目立っています。
災害などによる景況への影響 |
●夏の猛暑から度重なる台風被害、地震の影響で原材料の生産供給が不安定。末端価格が高騰して景況感は悪化している。(食料品製造業)
●新潟県中越地震の発生に伴い、宿泊、宴会、婚礼、大会、イベントなどのほとんどがキャンセル、延期になっている。(都市型ホテルの従業員)
●宴会を中心にキャンセルが相次ぎ、ホテル業界のみならず、あらゆる業界に多大な影響が出ている。(都市型ホテル)
●とにかく客が減少している。午前零時を過ぎると、2、3回しかつかまらない状況。(タクシー運転手)
●新潟県中越地震の後遺症で、客の消費マインド(心理)が冬物のクリアランス(一掃セール)時期までは上昇しない。(百貨店販売促進担当)
●当館にとって設備投資効果が出始めた矢先。地震による新潟からの客のキャンセルは影響が少なくなく、心理的影響の拡大が懸念される。(観光型旅館経営者)
●度重なる台風の影響で来客数が極端に減少している。前年比で売り上げが20%以上落ち込み最悪の状況。(レストラン店長)
●燃料費の高騰で経費の増加が避けられず、その上運賃が低迷して収益を圧迫している。人件費やその他の経費を抑えるのも限界に来ている。(運送業)
●生鮮食料品を中心に割高感が強まったことから、客単価が下落傾向にある。(スーパー副店長)
●客の購買心理が低下し、来客数が大幅に減少した。(百貨店営業担当)
●来客は前年同月比で2ケタ以上の減少。団体客の落ち込みが大きい。(テ ーマパーク職員)
●台風被害でリンゴ、ナシなどは全滅に近い。品薄で販売する商品がなく、価格も上がり客も離れている。(スーパー経営者)
●災害の不安感で、消費者は守りの姿勢になっている。買い物を楽しむ余裕がなさそうである。(貴金属小売店)
●相次ぐ台風など自然災害の影響で、荷動きが非常に悪い。石油製品の価格高騰も景気を悪くする要因になりつつある。(輸送業従業員)
●台風や地震といった自然災害が相次いでおり客はムダなことを省いて いる。(タクシー運転手)
●秋物婦人服衣料は前年比20%減。消費上昇の勢いは半減している。(百貨店サービス担当)
●鋼材価格の高騰で、仕入れ価格の上げ幅に販売価格が追い付かず利益が出なくなっている。(金属製品製造)
●度重なる台風の影響で、品薄になり仕入れ価格が上昇してきているが、販売価格はあまり上げられないので、利益は減少している。(花小売店)
●原油価格の高騰、台風による田畑への被害、新潟県中越地震による災害などで、各部門の卸売価格が高騰している。(スーパーの開発担当)
●台風の影響で操業日が減少し、水揚げも減った。よかったのは小型イカ釣り船程度である。(水産業従事者)
●台風の影響によって野菜が高騰しているため、原材料価格が上昇し収益が悪化しつつある。(レストラン経営者)
●主力輸送品の農産物が台風で打撃を受け、出荷量が激減している。(運送業)
●ビニールハウスの倒壊、浸水、破損が発生しており、生産能力の低下は避けられない。(農業従事者)
●台風の影響で、青果が今までにない高値で推移している。これが肉や魚等にも影響し、余計、財布のひもが固くなっている。(青果店店長)
●先月に続き台風の影響で、売り上げが下落している。新潟県中越地震の影響もでている。(観光型ホテル営業担当)