日本共産党

2004年11月10日(水)「しんぶん赤旗」

コートジボワール紛争

仏介入の背景に経済利権


 二〇〇二年九月の政府軍と反政府軍の対立で始まった紛争が続くコートジボワールには現在、国連平和維持活動(PKO)である「国連コートジボワール活動」(UNOCI)の約六千人と旧植民地支配国のフランス軍部隊四千人が駐留する変則的な状態が続いています。

監視する任務に

 フランス軍は紛争発生直後、反政府兵士の勢力の蜂起による混乱から自国民および外国人居留民を保護するとの理由で、部隊を展開。西アフリカ経済共同体(ECOWAS)の千三百人の部隊とともに、同年三月から反政府勢力が支配する北部と政府が支配する南部との停戦境界線を監視する任務に就きました。

 その後、フランスの仲裁で和平交渉が行われ、政府・野党・反政府勢力十者が〇三年一月、パリ近郊で和平合意(リナ・マルクシ合意)に調印しました。

 この合意では、公正な民主的選挙が実施されるまで暫定的な「国民和解政府」の樹立、閣僚ポストは各当事者間に公平に分配されることなどが決められました。同年五月には政府・反政府勢力との間で停戦合意に達し、国連安保理はフランス軍とECOWAS軍の活動を補完する国連コートジボワール・ミッション(MINUCI)の派遣を決定しました。

 しかし、バグボ大統領の和平合意内容の実施状況に批判的な反政府勢力が「国民和解政府」離脱を表明するなど再び緊張が高まるなかで、国連安保理は〇四年二月、MINUCIとECOWAS部隊の権限を譲り受けるPKO部隊として国連コートジボワール活動を設立する決議を採択。ECOWAS部隊はこれに編入されましたが、フランス軍は停戦地帯を監視し、国際部隊を保護する役割を独自に与えられました。

 しかしフランスの介入に対するコートジボワール国民の反応は好意的なものばかりではありません。

和平合意に反発

 バグボ大統領支持派は、〇三年一月の和平合意を「フランスが押し付けたもの」と反発、また反政府側からは、「大統領派の和平合意違反をきちんと取り締まっていない」との批判を受けています。

 さらに〇四年九月、アビジャン北西の町・マンにある西アフリカ諸国中央銀行支店の警備に当たっていた仏軍兵士十二人が、同行から六千五百万CFAフラン(約千三百五十万円)を盗み出しました。一月にも北部ブアケの同銀行支店で大金を持ち出そうとした仏軍兵士一人が逮捕されています。こうした事件は反フランス感情を刺激しました。

 フランスの同国紛争への介入の背景には旧植民地支配国としての面目と同時に大きな経済的利権があります。仏外務省の資料では、コートジボワール企業の総資本金の27%を仏企業が出資、仏企業の子会社二百四十社、仏企業家所有の六百社合わせ、総外国投資資本の68%をフランスが占めています。

 一九九〇年代以降、国際通貨基金(IMF)や世界銀行の介入による新自由主義的政策の導入で、コートジボワールの主要産業であるココア、コーヒー、木綿などの一次生産品の価格は暴落。地元生産者の収入は半減する一方、輸出専門の多国籍企業が地元産業を管理下に置くことで莫大(ばくだい)な利益をあげています。山田芳進記者



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