2004年11月10日(水)「しんぶん赤旗」
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台風23号の災害対策で、京都府は、住宅再建や産業復興、道路などの復旧のために、約三百億円の一般会計補正予算案と約二億円の公営企業会計予算案を正式に発表し、九日、議会運営委員会に提出しました。十五日開会される臨時府議会に提案されます。
京都府・足立裕紀子記者
府は、住宅撤去や家財道具購入などにしか使えない国の「被災者生活再建支援法」の支給とは別に、住宅本体の建て替え・購入や補修に補助する制度を創設。「支援法」の適用自治体かどうかを問わず、全壊に最高三百万円、大規模半壊に同二百万円、半壊に同百五十万円、床上浸水・一部破損に同五十万円を所得制限なしに補助します(新築・購入の場合は被災前と同一市町村内に限る)。
補助率は四分の三(府四分の二、市町村四分の一)で四分の一は自己負担ですが、高齢者や障害者、母子・寡婦の低所得世帯(生活保護基準の一・八倍以内)は二十万円まで自己負担なし。
「生活保護基準の一・八倍」は、被害が大きかった府北・中部の場合、夫婦と子ども二人の世帯で三十万円前後、高齢者二人世帯で十八万円前後と推測されます。
また建設・購入の場合は七百万円を限度に二十五年返済で、修繕・改良の場合は四百五十万円を限度に十年返済で融資する制度も創設。ともに三年の据置期間を設け、五年間は無利子です(六年目以降年利1・9%)。
不動産取得税・自動車税・自動車取得税の減免、府立の大学・看護学校・高校・中学の授業料と入学料と入試料の減免、パスポートや飲食店の営業許可などの再交付手数料の減免、生活福祉資金や母子寡婦福祉資金の無利子化なども行います。
産業分野では、「台風第23号非常時緊急融資」(融資枠二百億円)として運転・設備資金のために、零細業者むけに限度額一千万円の無担保無保証人融資(セーフティーネット保証での別枠利用や制度融資などの借り換えが可能)と限度額八千万円の中小企業・組合むけ無担保融資を創設。ともに年利1%で返済期間は十年(二年据置)です。農林水産業者には五年間の無利子融資を実施。被害が大きかったパイプハウスの復旧にも助成します。
被災者の救援では、京都の日本共産党は、千三百人を超えるボランティア派遣や五百三十万円以上の救援募金を集めるとともに、府議団が台風直撃の翌日から連日、被災地の各議員団と現場に入り、府北・中部の全域を調査。共通して出された住宅再建、生活必需品への助成の要望を、三度にわたって府に要請し、国制度を上回る積極的な独自対策を求めてきました。
松尾孝団長は、談話で、府の独自対策は「被災者の声にこたえて国制度の枠を大きく超えるもの」と指摘。さらに商工業者の機械設備被害などへの助成、幹線道路や河川、山間地の生活道路、農地の復旧などに全力をあげるよう求めるとともに国が住宅再建助成に踏み出すようとりくみを強める決意をのべています。