2004年11月9日(火)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク中部ファルージャを包囲し空爆を繰り返してきた米軍の地上部隊は八日未明、同市西部へ侵攻、ユーフラテス川西岸にある総合病院を占拠、同川にかかる二つの橋を支配下に置くなど、事実上の総攻撃に突入しました。同軍は同日午後までにファルージャ北西部にF16戦闘機やAC130攻撃機を動員し、五百ポンド爆弾四発を投下するなど激しい空爆もおこないました。
イラク暫定政府のアラウィ首相は八日、記者会見し、ファルージャの武装勢力掃討のため、駐留米軍とイラク治安部隊に対し、作戦開始を許可したことを明らかにしました。
カタールの衛星テレビ・アルジャジーラが病院関係者の話として伝えたところによると、八日の攻撃で少なくともイラク人九人が死亡、十六人が負傷しました。米軍側も海兵隊員二人が死亡しました。
またアラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビアは、米軍は同軍の攻撃で死亡したイラク人の埋葬現場にも爆撃をおこない、集まっていた住民六人を死傷させたほか、残虐兵器のクラスター(集束)爆弾も投下したと伝えました。ファルージャ総攻撃は早くも無差別虐殺の様相を呈しています。
米軍は七日夜までにファルージャ周辺の道路を完全封鎖し、ファルージャ東部を断続的に空爆。同市の東西では米軍と武装勢力との間で激しい銃撃戦が発生しました。同日にはイラク暫定政府が北部を除くイラク全土にたいし非常事態を宣言しています。
アルジャジーラは八日、ファルージャ周辺に展開する米兵とイラク治安部隊は二万人規模に達したと伝えました。米軍司令官は、戦闘がベトナム戦争以来最も激しい市街戦となるだろうとの見通しを示しました。
ファルージャでは四月に約七百人の住民が米軍の攻撃で虐殺されましたが、今回の総攻撃はこれを上回る、せん滅作戦となる危険をはらんでいます。