2004年11月6日(土)「しんぶん赤旗」
【モスクワ=田川実】ロシア大統領府は五日、先に上下両院が採択した京都議定書批准文書にプーチン大統領が署名したと発表し、同国は批准手続きを完了しました。これにより、地球温暖化防止のための拘束力を持った初の国際協定である同議定書の発効が正式に確定しました。議定書は、批准文書の国連への寄託を経て、来年二月に発効します。
議定書は国連の気候変動枠組み条約を基礎に一九九七年十二月、京都で開かれた締約国会議で採択されました。発効後、先進工業諸国には、議定書で決められた温室効果ガス排出削減の国別目標を達成する義務が生じます。
先進三十九カ国・地域は全体で、二〇〇八―一二年の間に温室効果ガスの排出を九〇年比で5・2%削減する義務があります。国別目標は、欧州連合(EU)が8%、日本とカナダが6%など。
〇二年の排出実績は、九〇年比で約3%減のEUと比べ、日本は7・6%増。現状から13%以上の削減が必要であり、抜本的な対策をとることが求められています。
議定書の発効には、(1)五十五カ国以上が批准する(2)批准した先進国の二酸化炭素排出量(九〇年当時)の合計が先進国全体の55%以上となる―ことが必要。米国がブッシュ政権登場後に議定書から離脱したため、ロシアの批准がカギとなっていました。
議定書の正式発効が決まったことで、地球環境の保全をめざす国際協力に背を向ける米国への圧力が、一段と強まりそうです。
世界自然保護基金(WWF)ロシアのココリン気候問題担当は、ロシアの批准を「まったく正しい決定で、百パーセント支持する」と評価。WWFが五日までに発表した声明は、「共同行動を決める国際機関としての国連の仕組みを支持するか、米国の(議定書)拒否で国際的努力を崩壊させるかの選択」がロシアにかかっていたと指摘しています。