2004年11月5日(金)「しんぶん赤旗」
【ベルリン=片岡正明】人件費の大幅削減をめぐり労使が対立していた独フォルクスワーゲン社の労働協約交渉は三日、金属産業労組(IGメタル)側が旧西独部にある工場の労働者十万三千人の二〇一一年までの雇用保障を勝ち取り、妥結しました。
妥結の内容は、雇用確保を重点に置いた労組側の要求を大筋で認めたもので、フォルクスワーゲン側は一一年末までは雇用者都合による解雇を行わないことを約束しました。労組側は2%の賃金引き上げを要求していましたが、〇七年一月末まで賃金引き上げは凍結されました。その代わりに〇五年三月に千ユーロ(約十三万円)の一時金が払われることになりました。新たに雇用される労働者の賃金は〇五年から現行より引き下げられます。
IGメタルの交渉責任者、ハルトムート・マイネ氏は「雇用確保と一時金は公正な妥結内容だ」と表明。労働者代表組織のフォルクスワーゲン総事業所評議会のクラウス・フォルカート議長は、「フォルクスワーゲンでの雇用を確保でき、労働者や家族だけでなく、工場のある地域での将来の展望を維持できた」と評価しました。
一方、シュレーダー首相は「合意を全面的に支持する」と表明。クレメント経済労働相は「大きな労働争議にならずに解決できたことは重要で肯定的だ」と評価しました。
フォルクスワーゲン社は、二〇一一年までに人件費を30%削減することを目標にし、九月から労使が交渉を開始。労組側は最大五万人が警告ストを行いました。