2004年11月3日(水)「しんぶん赤旗」
派遣・請負問題を考える交流集会が十月三十日、東京都内の全労連会館で開かれました。全労連が主催して初めて開かれたもので、派遣・請負労働者や十二単産、二十地方組織の代表など八十人が参加しました。
熊谷金道議長のあいさつにつづいて、井筒百子調査政策局長が派遣・請負問題に取り組むにあたっての全労連の方向(案)を提案しました。
このなかで、不安定雇用を増大させる政府の政策に反対し、正規雇用を基本とした雇用政策に転換させること、派遣・請負労働者の直接雇用化を求めること、派遣・雇用労働者の組合加入をすすめ、労働条件を引き上げ、正規労働者との均等待遇を実現すること、(個人)請負労働者については、就労実態にもとづき労働者性を判断し、労働諸法規を適用するよう求めていくとのべました。
龍谷大学の萬井隆令教授が派遣・業務請負をめぐる基本問題と題して講演しました。
《報告・発言から》
交流集会では、派遣や請負で働く労働者からの実態報告をはじめ、弁護士や労働組合からの発言が相次ぎました。
ある印刷会社の下請け会社で個人請負として働く男性は、完全に労働者なのに、「個人事業主」とされ、労働者としての権利が奪われ、有給休暇は一日もなく、社会保険にも入れず、税金は労働者よりたくさん払っていると発言。そして、「国がこういう扱いを放置していることが一番許せない」とのべました。
ある大手自動車部品メーカーで派遣社員として働いている菅原良子さん(27)は、「海外出張もしばしばで、財務や法務、IT部門の知識がなくてはできない仕事をしながら、時給千七百九十円です」と話すと、会場からは驚きの声があがりました。菅原さんは、静岡県評の相談員の援助で未払い残業代などを支払わせ、建交労東部ユニオンに加入して団体交渉を行い、派遣の仲間の悩みを話し合う会を毎週開いていると報告。大きな拍手を受けました。
徳島の製造業の部品製造ラインで請負労働者として働く矢部浩史さん(39)は、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)の地域支部にラインの請負労働者約三十人が加入して団体交渉中と報告。誇りをもって働いているが、何年働いても賃上げも一時金もない状況にたいし、最初は個人で会社に文句をいったものの、取り合ってもらえず、解雇されそうになったことにふれ、「一人では、会社はテーブルにもついてくれなかったが、組合をつくって団体交渉を申し入れたら、対応が全然違った。一つでもいい結果を得るようがんばりたい」とのべ、激励の拍手に包まれました。