2004年11月2日(火)「しんぶん赤旗」
【モンテビデオ(ウルグアイ)=菅原啓】南米ウルグアイの大統領選挙が十月三十一日実施され、貧困層支援や、国民本位の変革を掲げる左翼のタバレ・バスケス候補(64)=元モンテビデオ特別県知事=が過半数を獲得し当選を決めました。
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出口調査によると、社会党、共産党を含む二十以上の左翼・中道勢力を結集した「進歩会議・拡大戦線・新多数派」(以下「拡大戦線」と表記)のバスケス候補が過半数を超える(50・9%―53%)得票を得て、次点の国民党のララニャガ候補などを大きく引き離しています。選挙をたたかった保守の国民党、コロラド党とも同日深夜敗北を認めました。
南米ではベネズエラ、ブラジル、アルゼンチンなど各国で米国からの自立と国民本位の政治を掲げる左翼政権が相次いで誕生しています。バスケス候補は、勝利を「拡大戦線」の創設者たちにささげたいと勝利宣言。選挙事務所のバルコニーに姿を現し、「愛するウルグアイ国民のみなさん。(勝利を)祝ってください」と呼びかけました。
ウルグアイではこれによって、一八二五年の独立以来、軍政時代を除き約百七十年にわたったコロラド党、国民党という親米保守の伝統的二大政党による政権の独占に終止符が打たれました。
選挙法では、トップ候補の得票率が過半数に達しない場合、一、二位で決選投票をしますが、それを待たずに決まりました。また同時に実施された上下両院選挙でも、「拡大戦線」が過半数を制するとみられています。
首都モンテビデオ市内では、「拡大戦線」の旗やバスケス候補のポスターをもった市民数万人が街頭に繰り出し、花火を打ち上げるなど喜びを爆発させました。元市職員のグロリア・マルケスさん(81)は、感動で声を詰まらせながら、「この日が来るのを何十年も待った。これでウルグアイは国民のために奉仕する国に変わる。きょうは本当に歴史的な日だ」と語りました。
ウルグアイ 正式名称はウルグアイ東方共和国。一八二五年に独立。面積は日本のほぼ半分。人口約三百四十万人のうち大半をスペイン、イタリア系の白人が占めます。ブラジルとアルゼンチンの中間に位置し、第二次大戦にも中立を守ったことなどから南米のスイスともいわれます。 |