2004年10月28日(木)「しんぶん赤旗」
【モスクワ=田川実】ロシア上院(定数百七十八)は二十七日、先に下院が採択した地球温暖化防止を目指す京都議定書の批准法案を賛成百三十九、反対一、棄権一の圧倒的多数で承認し、同国は百二十七カ国目の批准国になりました。残る国内手続きはプーチン大統領の署名。大統領が参加する十一月十一日の欧州連合(EU)とロシアの首脳会議(オランダ・ハーグ)までにロシアの批准が完了し、議定書の発効が正式に決まる見通しです。
議定書は国連の気候変動枠組み条約を基礎に一九九七年十二月、京都の会議で採択されました。発効すれば各国は決められた温室効果ガスの排出削減の目標を達成する義務が生じます。発効には(1)五十五カ国以上の批准(2)批准した旧ソ連、東欧諸国を含む先進国の二酸化炭素排出量(九〇年当時)の合計が先進国全体の排出量の55%となる―が必要なため、36%を占める米国がブッシュ政権登場後に離脱したあとは世界第三位で17%のロシアの参加がカギでした。
ロシア外務省は二十七日までに、「ロシアの批准は、環境保護分野での広範で互恵的な国際協力に新たな勢いをもたらす」との声明を発表。議定書から離脱した米国を念頭に置き、「地球規模の気候変動を防止する効果的な方策を確保するには、温室効果ガス排出の低減のための国際社会全体による努力が不可欠だ」と強調しました。