2004年10月28日(木)「しんぶん赤旗」
「なんとか助かってほしい」。新潟県中越地震から五日目、見守る人々の願いのなか、ひとつの命が地震発生から約九十二時間ぶりに救われました。同県長岡市妙見町の土砂崩れ現場に埋まっていたワゴン車内で、行方不明となっていた母子三人のうち、主婦皆川貴子さん(39)=同県小出町=と長男優太ちゃん(2っ)が二十七日午後、発見されました。病院に搬送された優太ちゃんは意識がはっきりして「水が飲みたい」と話しています。貴子さんは死亡が確認されました。
東京消防庁レスキュー隊などは、残る長女真優ちゃん(3っ)救出につとめています。
新潟県関係者によると、車内は土砂に埋まっており、真優ちゃんとみられる体が見えますが、反応がないといいます。
同庁は午後二時半すぎ、岩の下から「あー、うー」という声が聞こえるのを確認。同二時三十九分、車と岩の間のわずかなすき間に立つ優太ちゃんを救出しました。
優太ちゃんは長岡市内の長岡赤十字病院に搬送され、同四時三十五分には貴子さんが同病院に運ばれました。優太ちゃんは、意識はしっかりしていて、女性看護師を見て「ママ…」とつぶやき、駆け付けた父親の会社員学さん(37)と会話しました。
ワゴン車が埋まっていた現場は信濃川沿いの県道589号。二十六日午後三時半ごろ、大きな岩の間に車が挟まれているのが発見されました。
東京消防庁の緊急消防援助隊員らは同日午後一時から、電磁波を放射する人命探査装置やファイバースコープなどを使って救出に当たっていました。
皆川さん親子は二十三日正午ごろ、新潟市内で友人と別れた後、連絡が途絶えていました。同日夕発生した震度6強の地震による土砂崩れに車ごと巻き込まれたとみられます。一家は六人家族。夫の学さんは以前から東京に単身赴任していました。