2004年10月24日(日)「しんぶん赤旗」
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「休日もなく連日終電で帰宅」「基本給や手当をカットされ、その分を定額残業代として支払っている」―。二十三日、日本労働弁護団(宮里邦雄会長)が十八都道府県で実施した「長時間労働・残業一一〇番」には、形を変えたサービス残業(ただ働き)の広がりや過労死・過労自殺寸前まで働かされている深刻な相談が相次ぎました。
相談件数は二百八十九件。うち「残業代不払い」が百四十九件、「長時間過重労働」が百二十七件でした。女性が三分の一を占めました。
東京・千代田区の労働弁護団事務所に設置された「一一〇番」では、相談開始の午前十時から電話が鳴りやまず、十人を超える弁護士が応対に追われました。
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日用品を販売するホームセンターで働く男性(40)は「終業時間を午後七時三十分から同九時に延長し、それに伴い定額残業代だけが支払われている。その残業代は、基本給と役職手当をカットして捻出(ねんしゅつ)している」と訴えました。
「平日は終電まで勤務。土日もない。六カ月前からうつ病で休職中」という映像制作会社の女性(31)は「職場ではもう一人うつ病になっている。何とかしてほしい」と助けを求めました。
女性からの相談が増えたのが特徴的。「トイレに立つ暇もなく、過労で頭痛に悩まされている」「会社に泊まり込んで体を壊した」といった相談が目立ちました。
「長時間労働による精神疾患が急増しており、リストラによる人手不足が背景にあります。一方で労働基準監督署のサービス残業是正指導から逃れるため、基本給や手当をカットして、定額残業代を支払うという脱法行為が広がっています。今後、これを許さないとりくみを強化する必要がある」と相談員の小川英郎弁護士は話しています。