2004年10月22日(金)「しんぶん赤旗」
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円山川の堤防決壊で住宅地や農地の多くが浸水した兵庫県豊岡市では、台風通過から一夜明けた二十一日夕方になっても、かなりの地域で水が引かず、住民は家に帰れず後片付けにも手が付けられない状態です。
市役所や警察も浸水し、行政による被害の掌握もほとんどできない状態が続いています。公立豊岡病院は、夕方になっても水が引かず、医師も患者もボートで接近するしかありません。
停電が続いている地域も多く、店の外で電卓をレジ代わりに営業するコンビニエンスストアも。
市立中筋小学校には、ピーク時に三百人以上が避難。水位が下がらない地域の約百二十人は、二日目の夜も過ごします。テレビのニュースを不安そうに見ていた有田藤子さん(59)は「もう四十時間以上寝ていません。きょう家の近くまで行ったんですが、まだ相当水に漬かった状態で近づくこともできませんでした」と疲れた表情です。
八木田百合子さん(67)は、呼吸不全で酸素ボンベが欠かせない夫の身を案じています。「停電が続いているので酸素ボンベが使えないんです。今は電池で動く緊急用の装置を使っているのでそちらの心配はありませんが、明かりがつかない部屋に寝ているのは不安だろうと思います」と話しました。
日本共産党の村岡峰男市議(56)は、台風が上陸した二十日、深夜零時ごろ、堤防決壊の知らせを受け二十一日未明に豊岡に到着、避難所で相談活動などにあたりました。「豊岡市始まって以来の災害です。被害のあらましはまだ不明ですが、二十二日朝までにはかなり水が引くと思われるので、本格的な救助・復興に取り組みたい」と語りました。
台風23号の影響で甚大な被害が出た兵庫県で、日本共産党の議員、候補者、支部の人たちは二十一日、救援にかけつけるとともに、被害の実態を調査し、被災者の要望を聞きました。
加古川と同川に流れこむ川がはんらんし、大きな浸水被害となった兵庫県北播磨地方。日本共産党の宮田静則県議、金田峰生・党県国政事務所長は同日、床上浸水約九百三十世帯、床下浸水約三百七十世帯となった西脇市(二十一日現在)、床上・床下浸水計千百世帯の小野市(同)にかけつけ、被災者を見舞うとともに被害を調べました。
西脇市では、是常吉信市議とともに、加古川と杉原川の合流地点からはんらんし、多くの住宅が床上浸水した和布町を訪れました。
多くの住民が荷物の運び出しや泥かきに追われるなか、床上一メートル以上浸水した木造アパートに住む杉山たか子さん(58)=会社員=は、「こんなことは初めて。あっという間に水がきた。家財道具は全滅し、車もダメになりました。とりあえず捨てる畳や物を全部外にだして、泥をかきださないと。これが何日もかかる。その先のことは考えられない」と訴えました。
宮田県議は、「大きな家屋被害にふさわしい、正しい被害判定をさせなければいけません。被災者のみなさんに支援が行き届くよう、がんばります」と話し、激励しました。
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日本共産党の新井進、前窪義由紀両府議と舞鶴市議団、後野和史舞鶴地区副委員長は二十一日、台風23号で由良川の水があふれ観光バスが立ち往生した舞鶴市で被害を調査しました。一行は、各幹線道路が土砂崩れなどで寸断されているため、六時間半かけて福井県まわりで舞鶴入り。
床上浸水のあった大森海岸町内会では、泥の掃除に必死。西舞鶴と中舞鶴、東舞鶴の一部で断水のため清掃もままなりません。
渡壁芳房自治会長(55)は「私の家は二十日の午後六時ごろに水があがってきて床上五〜六センチまできた。水道復旧と独居の高齢者を支援してほしい」と話しました。
工場の片方の壁が崩落した舞鶴製氷の林均社長(56)は、「(営業再開には)一億円以上、半年はかかる。せめて無利子無担保で据え置き期間のある融資制度を国や行政で考えてほしい」。かまぼこ製造会社の社長は「私らは水を自力で確保せんならん。水くみ専用の社員を配置してわき水を汲みに行っている」と話しました。
市中心部の八幡商店街や真名井商店街でも、高野川が逆流、胸の高さまで道路が冠水したところも。市によると午後四時現在、二人が死亡、二人が行方不明になっています。
一行は、市の災害対策本部などを激励しました。
台風23号は二十日夜、岐阜県内を直撃し、飛騨市古川町の宮川、岐阜市と美濃市の長良川などで水があふれ出て、飛騨、西濃地域を中心に被害が拡大しました。
県防災局によると二十一日十一時現在、養老郡上石津町の谷川に流された男性(80)と、郡上市美並町で濁流に流された男性(64)ら計四人が行方不明になっているほか、死者三人、重軽傷十二人の人的被害が出ました。
二〇〇二年七月の台風6号による豪雨で、浸水被害を受けた大垣市荒崎地区は、大谷川の越流に対応して約二億円をかけて整備した仮堤防の土のうが、行政の判断で早めに閉め切られたことで土のうの内側にあたる長松、新田、島の集落が浸水しました。
島団地で駄菓子店を経営している佐藤信一さん(63)は「これは危ないと思い、家財や商品を二階に上げて備えたが、床上まで浸水。自販機は使えなくなり、しばらくは手売りするしかない」と話していました。荒崎水害訴訟原告団長の安保千晴さん(64)は、「島団地で約二十戸が床上まで浸水。行政は現場の状況をよく把握しながら、仮堤防の閉め切りを判断すべき」と語りました。
日本共産党の笹田トヨ子市議と森桜房義・西濃地区常任委員は荒崎地区に入り、現地の状況を聞き取りました。