2004年10月19日(火)「しんぶん赤旗」
日本歯科医師連盟(日歯連)をめぐる事件で、業務上横領などの罪で起訴された前衆院議員吉田幸弘被告(43)が二○○二年、日歯連から受領した資金から公明党の坂口力前厚労相(70)側に数百万円を渡していたことが十八日、関係者の話で分かりました。前厚労相側はこの金を受け取ったうえで、翌年春までに全額を返却したとされますが、坂口氏は吉田被告からの資金提供についてこれまで全面否定してきただけにその責任が問われます。
関係者によると、日歯連の会計担当だった前常任理事内田裕丈被告(63)が○二年一月、坂口前厚労相側に渡してもらう目的で吉田被告側に二千万円を支出しました。前厚労相側にはこの中から、同年秋までに数百万円が渡ったとみられます。
日歯連内部の仮受領書には、一月三十一日付で「健康増進法における医政対策」として、吉田被告側に二千万円を支出したとの記載がありました。
東京地検特捜部もこうした経緯を把握していますが、資金が返却されていることなどから、刑事責任の追及は見送る方針です。
この問題をめぐっては、今年七月十八日付の東京新聞(中日新聞)が、日歯連から吉田被告に、坂口氏への献金名目で二千万円が支出されたと報道しました。坂口氏は「まったく事実無根」(国会答弁)、「一切そういう(献金を受け取った)事実はない」などと否定。同紙の編集局長を名誉棄損容疑で特捜部に告訴、民事訴訟も起こしていましたが、この間、吉田氏から資金をいったん受けたことについていっさい口をぬぐってきました。
坂口前厚労相の事務所は本紙の取材にたいし「回答をさしひかえる」としています。
坂口氏と日歯連についてはこれまでさまざまな問題が表面化しました。
坂口氏は厚労相在任中に日歯連前会長の臼田貞夫被告と対談、昨年十一月の公明新聞に対談記事が十段大型広告として掲載されました。公明党側には推定約百六十万円の広告料金が支出されたとみられます。
また、坂口氏は二〇〇〇―二〇〇二年の三年間に日歯連やその都道府県組織から計百六十四万円のパーティー券代を受け取り、うち〇二年の日歯連からの百万円については六十万円を返却したと説明しています。
愛知県歯科医師連盟は昨年、百十万円を公明党愛知県本部に献金。この献金と、ほかの二つの医師関係政治団体の献金をあわせた金額(四百十万円)が約一カ月後にほぼ全額、県本部から坂口氏の後援団体に渡されていたことも発覚しました。