2004年10月19日(火)「しんぶん赤旗」
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「平等へのかけ橋ができました」―。澄み渡った秋晴れのもと、女性たちの笑顔が輝きました。野村証券で働く十三人の女性たちが、コース別人事制度での賃金・昇格差別の是正を求めていた裁判で、東京高裁(横山匡輝裁判長)で和解が成立(十五日)。原告団が十八日に記者会見し、明らかにしました。
和解は、一審判決(二〇〇二年二月)で認められなかった現職全員の総合職の課長代理への昇格と、会社は原告全員に一括して解決金を支払うという画期的な内容です。「男女のコース別人事処遇は、改正男女雇用機会均等法に違反する」と初めて判断した一審判決からも、大きく前進した内容であり、同様の制度を採用している大企業などに雇用政策の転換を求めるものです。
一九九三年に提訴した裁判は長期に及び、すでに十人が定年退職し、そのうち一人が亡くなっています。昇格が決まった現職三人は「全員が課長代理になれたら、どんなにうれしかったことか。長い十一年だった」(小西京子さん)、「この和解が差別是正に向け、一歩も二歩も前進する力になれば。平等へのかけ橋になれたのではないかと思う」(玉置好子さん)、「課長代理は管理職の手前。課長になって退職したい。名実ともに差別のない職場をめざし、はりきっていきたい」(堀好子さん)と、晴れやかに語りました。
原告代表の棚尾節子さん(62)は、一審でコース別人事制度が違法と認められ、野村証券が原告を昇格させざるを得なかったと報告。「多くの企業で、一般職、総合職の名で女性が差別されています。コース別人事制度こそが見直される時期にきています。野村証券が倫理規程を守り、職場での平等が実現されることを望む」と強調しました。
原告らは十八日夜、東京都内で報告集会を開きました。
野村証券で働く十三人の女性が、男性は「総合職」、女性は「一般職」とするコース別人事制度のもとで賃金・昇格で男女差別を受けたとして、その是正を求めて一九九三年に提訴したもの。同社では、男性は高卒勤続十三年で課長代理に昇進するのにたいし、同じように働く女性のほとんどは平社員のまま。年収で三百万―四百万円もの格差がつけられています。