日本共産党

2004年10月18日(月)「しんぶん赤旗」

集団自殺事件を考える

亡くなった女性と直前に対話

フリージャーナリスト 渋井哲也さんにきく

相談の専門機関が必要


 埼玉県で起きた男女七人による集団自殺事件で、ネット上の掲示板で自殺を呼びかけたとされる東京都文京区の主婦(34)と知り合いだったフリージャーナリストの渋井哲也さん(34)に経過を聞きました。ネット心中を取材してきた渋井さんは、今回の集団自殺に胸を痛めながら「『自殺相談』をもっと専門的な機関がしなければ」と話しています。

「やらないよ」と事件直前に電話

 渋井さんは事件が起きる直前の十日に女性と電話で話しました。女性は「また私が何かやると思っているんでしょ。(自殺未遂を)やったばっかりだからやらないよ」と話し、最後に「また会いたいから、こっちから電話するよ」と言い、電話を切ったといいます。

 渋井さんが女性と最後に会ったのは九月末。このときは女性から「会いませんか」と電話があり、会う約束をしました。

 当日、女性は自殺をテーマにしたチャットで知り合ったという名古屋の男性(17)といっしょに現れ、自殺未遂となった十月四日の「計画」を渋井さんに話しました。しかし、渋井さんが、自殺をやめるよう諭すと女性は話をやめてしまいました。

自殺未遂で入院「またやるよ」

 渋井さんは計画の日の朝、一一〇番通報しましたが相手にされませんでした。

 渋井さんは女性が「自殺計画」を実行したことをニュースで知り、女性に電話をかけました。電話がつながったのは、自殺未遂で意識不明になり、入院していた女性が退院した六日でした。

 このとき女性は警察官から、自殺するならもっと確実な方法があるだろうと「笑われた」と渋井さんに話したといいます。女性は「またやるよ。でもすぐはやらない」とも答えましたが、それ以来連絡はとれなくなり、今回の集団自殺にいたりました。

家族関係で悩み自分を責め続け

 渋井さんは「女性は子どもと暮らせないこと、パートナーといい関係が築いていけないことで悩んでいた。自分の精神の不安定さが相手を怒らすのではないかといろいろなことを自分のせいにしていた」といいます。

 事件後もネット上の自殺掲示板に「死にたい」と書き込む人たちは後を絶ちません。他方、自殺を考える若者たちに対して、自殺を防止させようとする書き込みも増えており、自殺防止を目的にしたサイト(こころの散歩道)もあります。

 渋井さんは、ネット心中の連鎖被害を心配しながら「自殺相談の機関を職業化していき、ボランティアじゃなくプロフェッショナルがやっていかなければいけない」と指摘しました。



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