日本共産党

2004年10月17日(日)「しんぶん赤旗」

平和めざし世界で活躍する「しんぶん赤旗」

“覇権主義、軍事同盟に反対”貫く

中日韓平和発展・安全保障シンポジウム

「メディアの役割」で小寺松雄北京支局長の発言

(大要)


 中国社会科学研究所日本研究所などの主催で、十一、十二の両日、北京でおこなわれた「中日韓平和発展・安全保障シンポジウム」の「メディアの役割」についての討論にパネリストの一人として参加した、「しんぶん赤旗」の小寺松雄北京支局長の発言の大要を紹介します。




世界の流れ、アジアの胎動を伝える
写真
シンポジウム閉幕式であいさつする権丙鉉・韓国東北アジア共同体研究院院長=11日、中国国家行政学院(小寺松雄撮影)

 「しんぶん赤旗」は日本共産党の機関紙で、現在、日刊、日曜版あわせて約百七十万の読者をもっています。アジアでは北京、ハノイ、ニューデリーに、そのほかカイロ、パリ、ロンドン、ベルリン、モスクワ、ワシントンDC、メキシコシティーと、世界十カ所に支局を置いています。

 これら海外支局と東京からの記者派遣によって、たとえばこの三年間に、各特派員の任地国はもちろん、キューバ、ベネズエラ、ブラジル、チリ、アルゼンチンなど中南米諸国、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、ラオス、カンボジアなど東南アジア諸国、アフガニスタン、スリランカ、ネパール、パキスタンなど南アジア諸国、イラク、シリア、チュニジア、南アフリカなど中東・アフリカ諸国、ポーランド、旧ユーゴスラビア、チェコなど東欧諸国とともに西欧のほとんどの国を繰り返し訪れて取材しています。韓国へは、東京から随時、記者が訪れ、取材しています。こうして、世界の流れ、平和と安定めざすアジアの胎動を伝えるために努力しています。


イラク戦争の違法性、侵略性を追及

 イラク戦争に象徴されるように、世界は今、一国覇権主義、単独行動主義の悪弊に直面しています。イラク戦争は、国連をないがしろにし、国連憲章と国際法をふみにじって始められた戦争であり、「赤旗」は最初から「侵略戦争」だとして実態を追ってきました。

 しかしその中で、国連を中心に、国連憲章と国際法にのっとった世界秩序、国際協調主義の秩序を築こうとする動きが広がってきています。アジアでは、戦争ではなく平和を、軍事同盟による秩序ではなく対等平等、主権の相互尊重、内政不干渉を原則にした新たな共同、国際秩序の確立をめざす動きが急速に広がりつつあります。

 そのような世界の動きの中で、メディアの役割はきわめて重要です。「赤旗」は、国際情勢についての情報と分析を正確に伝え、世界の流れの本質と展望を読者に伝えることを重視しています。


平和共存、文明間対話を訴える

 「赤旗」の国際報道の基本は、あらゆる覇権主義、軍事同盟に反対し、国際紛争の平和的解決、核兵器の廃絶、新しい民主的国際秩序の樹立に貢献することです。「赤旗」は、米国のベトナム侵略戦争、旧ソ連のチェコスロバキア侵略、アフガニスタン侵略などを、現場取材を通じて徹底的に批判してきました。「核兵器のない平和な地球を」の願いに立って、原水爆禁止、核兵器廃絶めざす国際的運動を報じてきました。

 私たちは、平和を求める日本国内の世論と運動を励ましながら、日本政府に対して、過去の軍国主義、植民地主義を明確に反省し、自主独立、アジア重視の外交への転換を迫る世論づくりに努力しています。

 私たちは、アジア諸国との友好・協力を重視し、平和の国際秩序を侵犯・破壊する覇権主義的行動に反対し、社会制度の異なる諸国の平和共存、異なる価値観をもった諸文明間の対話と共存を訴えてきました。

 最近、第三回アジア政党国際会議が北京で開かれ、アジア各国の与党や野党の代表がイデオロギーをこえて一堂に会し、平和と協力についての共同の目標を「北京宣言」として採択し、大きな成果をあげました。「赤旗」は、この会議に注目し、詳細に報道しました。


東アジア共同体の動きに注目

 「赤旗」は、アジアの胎動を読者に伝え、ともに考える報道に努力しています。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国を中心に形成されてきた平和と対話、国際協調への動きはいま、東南アジア友好協力条約(TAC)に域外の一連の国々が調印したこと、ASEAN地域フォーラム(ARF)に新たにインド、パキスタンが参加したことが示すように、南アジアへ、また北東アジアを含むアジア全体へと広がっています。

 その中で、ASEAN諸国の共同体から東アジアの共同体への動きが浮上しつつあります。

 「赤旗」は、ASEANの動き、ASEAN共同体への動きに注目し、そのなかで新たに浮上しつつある東アジア共同体形成へのイニシアチブについて注目しています。東アジア共同体問題でのシンポジウムが昨年、今年とマレーシアで開かれましたが、この会議には、党の代表とともに「赤旗」の外信部長が出席し、討論に参加し、その内容、アジアの新たな動きを報じてきています。

 韓国の盧武鉉大統領は昨年の来日の際に、北東アジアの平和と共同の確立を訴えましたが、北東アジア各国の新たな連携は地域の平和にとって重要です。核兵器廃絶を求める基本的立場から、核問題をはじめとする北朝鮮問題の道理ある解決をはかることは、アジアの平和と安定にとって切実です。

 中国政府の主催のもとに北京で三回、六カ国協議が開かれ、一定の前進をみてきました。「赤旗」は問題点を明らかにしつつ、問題解決の展望を明らかにする立場で報道をおこなっています。六カ国協議が成果をあげてゆくことができれば、地域の安全と平和に寄与する仕組みとなってゆく可能性があります。その中で重要なのは、拉致問題の解決とともに日朝関係の正常化の課題です。これらの問題について「赤旗」は、日朝平壌宣言にもとづく解決が大事だとする立場で報道に努力しています。


過去への反省、平和と友好訴える

 東アジアの平和と発展、北東アジアの躍動のなかで、日本の政治と外交の現実について語ることは日本のメディアの重要な仕事だと思います。

 アジアの平和と協調、共同の発展のためには、自主独立、平和と友好、真のアジア重視の日本外交への転換がどうしても必要です。そのためにも、過去の日本軍国主義の誤りを反省する立場を明確にすることが重要です。小泉首相はじめ多数の閣僚の靖国神社参拝問題はきちんと解決すべき重大な問題の一つです。

 来年は戦後六十年ですが、中国、韓国、北朝鮮で、日本の侵略の傷がなお癒やされないことは大きな問題です。日本と中国、韓国、国民の間の相互理解の前進と、友好関係のために貢献することは、日本のメディアの特別の責任だと考えます。

 私たちは、日本国内では、憲法改悪、九条改悪に反対する国民世論、米軍基地撤去を求める運動、社会保障制度改悪に反対しその充実を求めるたたかいを報じ、励ますことを重要な任務とし、奮闘しています。こうした立場に立って、日本と中国、韓国、そしてアジア諸国との交流と相互理解、平和と友好のアジア、新たなアジアの共同のためにいっそう努力していきたいと考えています。



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