日本共産党

2004年10月16日(土)「しんぶん赤旗」

解雇撤回へ国超え、連携

GMが欧州工場閉鎖や賃下げ攻撃


 経営者側が人員削減や労働時間延長、賃金切り下げを求めているドイツの自動車産業で、労資交渉がヤマ場を迎えています。オペルでは、親会社の米系自動車大手GM(ゼネラル・モーターズ)が工場を賃金の安い東欧に移し、これまでの工場では欧州規模で人員削減しようと計画。これに対し労働者は国の枠を超えて連携を強めています。フォルクスワーゲンでは十一日に労働者が警告ストを実施。職場確保の道を勝ちとっています。(ベルリン=片岡正明)


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職場の確保などを要求し、ハノーバーでおこなわれたフォルクスワーゲン労働者のデモ=12日(IGメタル提供)

 GMは、欧州の子会社オペル(ドイツ)、サーブ(スウェーデン)などの従業員六万二千人のうち一万二千人を削減。工場閉鎖などを進めています。欧州各地の子会社に労働条件の改悪、賃下げを競わせた上で具体的な削減工場を決めようとしています。

 ドイツでは、オペルがリュッセルズハイムで二万人、ボッフムで一万人の従業員を雇用していますが、約七千人の解雇が懸念されています。

 年に自動車十万台を生産するラインをボッフムからポーランドに移転する計画について南ドイツ新聞十三日付は、「ブッシュ米大統領を全面支持しているGMがドイツのイラク戦争反対政策に報復しポーランドを支援するためだ」との見解を掲載しました。

政府に援助働きかけて

 リュッセルズハイムの事業所評議会(労組とは別の企業ごとの従業員代表組織)代表は「米帝国主義らしいやり方だ」と批判。オペルの事業所評議会は、独連邦政府が援助するように働きかけています。クレメント経済労働相も、財政援助はできないとしつつ、人員削減をしないよう働きかけています。

 このなかで、欧州のGM子会社の労働者同士が団結してたたかおうという動きが出ています。ドイツのオペルと同じく、大量解雇が確実視されるスウェーデンのサーブなどと連携し、欧州のGM子会社の全事業所評議会が集まり意見交換する会合がフランクフルトで十四日に開催されました。

ワーゲンで職場保障へ

 一方、十二日に三回目の労資交渉を終えたフォルクスワーゲンでは、労働者側が会社側に交渉中の労働協約に職場保障問題を入れさせることに成功し、職場保障への道を勝ち取りました。会社側は二〇一一年までに人件費の30%削減、二十億ユーロのコスト削減を求め、二年間の賃金凍結などを主張しています。これに対し金属産業労組(IGメタル)と事業所評議会は、4%の賃上げと、旧西独六工場十万三千人の職場確保を要求しています。



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