2004年10月14日(木)「しんぶん赤旗」
総合重機の大手、石川島播磨重工業の労働者とOBが十二日夜、「石播東京・職場の差別をなくす会」を結成し、十三日に会社側に申し入れました。今年三月に同社が思想差別をやめて再発を防止すると確約した田無・瑞穂工場争議の勝利和解を踏まえて、差別是正に向けての新たなたたかいを開始したものです。
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争議和解にあたり、会社側は(1)女性であることを理由に、補助的な業務を続けさせ、資格や賃金を低く抑える(2)思想、支持政党、労働組合活動およびインフォーマル(秘密労務)組織の活動への協力度を理由に、仕事、資格、賃金などで格差をつける―など「やってはならない」十四項目を明示し、全従業員に徹底すると表明。また、原告以外に差別を受けていた人についても、要求すれば和解内容に準じて是正する、と約束していました。
これを受けて、東京地区の労働者とOBが結束して思想差別の是正へ立ち上がり、現在百四人が是正を求めています。
十三日には、東京地区の労働者とOB、弁護士、支援共闘、原告団が石播本社を訪れ、百四人分の「差別是正要求書」を受け取るよう申し入れました。会社側は「東京地区の人は、ZC(ゼロ・コミュニスト=共産党員撲滅)名簿に載っていないので、協議の対象にならない」という態度に固執し、要求書の受け取りを拒否しましたが、協議は引き続きおこなうことになりました。
「なくす会」は同時に、設計や技術系の「課長代理」を管理職に水増しして残業代を削減していた問題や、成果主義賃金制度など職場のさまざまな問題に対し、「差別のない職場と社会を実現するために世論に働きかける」(結成総会での声明)ことを目的に掲げています。
石川島播磨重工業が約束した「会社および従業員がやってはならない」14項目は、以下の通りです。
(1)女性であることを理由に、補助的な業務を続けさせ、資格や賃金を低く抑える。
(2)思想、支持政党、労働組合活動、およびインフォーマル組織の活動への協力度を理由に、仕事(業務従事資格の付与を含む)、資格、賃金などで格差をつける。
(3)合理的な理由がなく、本人の意思に反して、仕事を取り上げる、極端に少なくする、席や執務場所を隔離する。
(4)仕事上のミスや行き違いを口実に、みなの前で大声で非難・罵倒(ばとう)する、始末書や反省文を要求する、つるしあげる、社内規定にない私的制裁を加えるなどで、精神的または肉体的に苦痛を与える。
(5)合理的な理由がなく、仕事や安全衛生などの教育・研修、または社内公開講座などを受けさせない。またこれらの開催や募集を知らせない。
(6)合理的な理由がなく、会社の福利厚生制度の利用を制限または拒否する。
(7)会社行事、職場行事および日常の職場の交友において、特定の従業員を無視、嫌がらせ、排除を行う。またはこれを働きかける。
(8)合理的な理由がなく、会社体育文化会所属サークルへの入会を拒否する、退会を求める。
(9)「話をすると同じにみられるから損だよ」などの忠告・助言という形であっても、結果的に特定の従業員とのあいさつ・対話・交友を、監視・制限・妨害する。
(10)香典、祝い金、餞別(せんべつ)などを集めない、知らせないなどで、特定の従業員を職場内の冠婚葬祭から排除する。
(11)就業時間中にインフォーマル組織の活動や会議を行う。またはこのために施設使用や外出などの便宜をはかる。
(12)特定の従業員が配布するビラなどを受け取らないように働きかける。
(13)新入社員教育などで、労働組合活動に関し特定の従業員や団体を非難し、またはビラなどの受け取り拒否などの非協力を教唆する。
(14)思想、支持政党、労働組合活動の傾向、インフォーマル組織の活動への協力度、居住地での活動、家族の活動、および私病歴などを調査する。またこれらをリスク・マネジメント(危険の管理・制御)の対象にする。またこれらを目的にした教育を行う。