2004年10月11日(月)「しんぶん赤旗」
「失業して4年。もう八方塞(ふさ)がりです。自殺しか道はない」。そんな切羽詰まった胸の内を訴えた約300通近いメールが、日本共産党中央委員会のホームページの「若者ネットワーク 若者に仕事を」に寄せられています。サービス残業やリストラ、派遣・請負など非正規社員への差別待遇、きびしい就職難など深刻で切実な声ばかり。その一部を紹介します。
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建築関係の仕事をしています。毎月の残業時間は百時間以上で、手当は一切なし。そのくせ、体調を悪くして病欠にすると、その分給料を引かれます「おまえの代わりはいくらでもいる」といわんばかりに、どんどん退職者を出しては新たに求人を募集します。
この業界、程度の差はあれ、どこも同じ状態らしいのです。退職したところで、仕事が見つかるかどうかは微妙な年齢…。
私はどうすればよいのでしょうか。この国に幸せは存在するのでしょうか?(三十代、正社員)
一昨年、八年間勤めた運送会社を不当解雇され、それから一年間、都労委でたたかいました。結局なけなしの「解決金」をもらって退職。今は、パートの契約社員ですが、定職を探しています。二十社近く受けて、ことごとく落ちました。
「降りやまぬ雨はない」とか「明けない夜はない」といいますが、もう二度と抜け出すことのできない暗闇に閉じ込められてしまったような気持ちでいます。
この「雨」がやむときはくるのでしょうか。いっそ死んだほうが…。(三十代、派遣社員)
今、パートをしていますが、前の職場で私に好意を持った上司にストーカーをされました。別の上司に相談をしましたが「相手には家庭もあることだし、辞めるなら君が」といわれました。納得できませんでしたが、エスカレートする相手が怖く、結局退職しました。
「たとえ君が結婚してもぼくはあきらめない」といわれ、二、三カ月は怖くて外へでることもできませんでした。五年たちますが、まだ心の傷となっています。どうして辞めなければならなかったのか、ほんとうに悔しいです。(正社員)
都市計画コンサルティング会社でアルバイトしています。希望の職種につけ、満足してますが会社の労働条件に不満な点がいくつかあります。労働契約書に記載されていない給与体系や社会保険には社員も入れない、給料が安すぎるなど。
「争う」ではなく「話し合い」をしたいと思っていますが、どのように交渉していけばいいかわかりません。相談できる人もおらず、とても悩んでいます。(二十代、アルバイト)
請負会社の契約社員をしています。請負先の大手自動車会社工場から昨日、「減産のために契約を終了」すると通達がありました。私もモチベーション(動機づけ)を高く持って仕事をしてきたつもりです。
請負会社は労働組合などないのですが、仕事は正社員と同等以上のスキル(熟練した技術)を要求してきます。辞めればいいのでしょうが、そうそう仕事が見つからないんです。安心して精いっぱい働ける環境を、一刻も早く実現してほしいと願っています。(派遣・契約社員)
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五年ほどお付き合いしている人がいて、お互い結婚も考えています。彼は現在、就職活動中です。私のアルバイト先は人手不足で、「早く仕事に来い」と早出を強制する電話をかけてきます。それなら「正社員に」と交渉したのですが「できない」と一点張りです。
早く結婚して子どもを産みたいのですが、私の職場は子どもができると強制的に退職させられます。本当にどうにかしてほしいです。(二十代後半)
私の夫はもう三年近くも就職活動中です。面接では即戦力を求められるそうですが、営業畑を歩いてきた夫にはこれといった専門知識や資格はなく、何度も不採用になりました。今は私が働いて何とかなっていますが、子どもが産まれ、出費がかさむようになったら生活していけるのか不安です。(正社員)
職安に通っています。なかなか見つかりません。こんな状態が続くと何が自分に合うのやら分からなくなり、気が重いです。職安に小さな子ども連れで仕事探しに見える若い人が多いです。
大学でまじめに頑張れば就職できると思っていました。しかし、就職するためには、大学などでの勉強の努力をしてもなかなかそうはいかないような感じがします。
成績優秀な人でも就職できない。世の中おかしいと思います。(二十代)
外食産業のチェーン店で正社員をしています。労働環境は最悪です。平気でサービス残業、休日出勤させます。タイムカードの時間をレジでいじれるようになっていて、夜の十二時まで働いてもついていません。
このようなサービス残業がもたらす悪影響をなくし、よりよい社会をつくっていただけることを、私たちは日本共産党さんに期待したいと思います。(二十代前半)
私は二十五歳になったばかりの無職です。今生活保護をうけながら就職活動をしています。私と同じ世代の青年さえ生活保護に頼らざるを得ない人が増えていて、ホームレスになってしまった人もいます。
日本共産党の皆さん、われわれ青年に仕事を手に入れることができますように、小泉政権にたいしてきぜんとたたかってください。
寄せられた一つ一つの悲痛な訴えを読み、深刻な実態が改めて明らかにされていると思います。それは、若者の深刻な失業、大規模なリストラ、異常な長時間労働、パート、アルバイト、派遣など非正規社員に対する差別待遇の四つに特徴づけられると思います。その深刻さは、自殺未遂やうつ病になるなど、心の病に追いこまれていることにも示されています。
これは若者だけではなく、労働者全体にかけられた攻撃だと受け止める必要があります。非正規社員が無権利のままで放置されるなら、正規社員のたたかう基盤が崩壊する危機にさらされるからです。
とりわけ正規社員と先輩のおとなは、非正規の若い労働者にもっと積極的に声をかけてほしい。「頑張ってたたかえ」というお説教ではなく、「今の職場の状況に満足?」と青年に聞くだけでいいのです。
訴えの多くは、労働基準法違反の事例がほとんどです。求人募集が女性だけとか、男性だけとか特定するのは派遣法の指針にも違反しています。「アウトソーシング(外部委託)という名目で就職したのに実態は偽装派遣だった」という訴えも違反です。
知っていれば「不法だ」とちゃんと言えるわけで、法と社会について勉強することも大切です。
たたかわなければ絶対によくならないことはハッキリしています。覆面でいいから、「違反はこれだけある」と労働基準監督署などに訴え、行政の力を使って改善させていくなど違反を許さない声を上げましょう。
プロ野球選手会があれだけ大きな力を発揮できたのは、労働組合だからです。労働組合がないところは、結成をめざして取り組んでほしい。地域には一人でも入れる労組があります。
労組に入ると自分一人で悩まなくっていい。同じ境遇の仲間と交流でき、団体交渉権という権利ができて会社と対等のテーブルに着けます。労働組合員だからといってその人だけをいじめたり、劣悪な仕事をさせたりしたら違法です。
組合力を利用してほしいですね。
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