2004年10月10日(日)「しんぶん赤旗」
異常なペースで続く台風の上陸――。近年、東海に上陸した台風としては、最強となった台風22号で、台風の年間最多上陸記録がまた更新され、一九九〇年、九三年の最多上陸数六個の一・五倍にも達しました。
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台風の相次ぐ上陸は、今年の記録的な猛暑と関係しています。専門家はこれらの背景に地球規模の気象異変がかかわっていると警鐘をならしています。
ことし真夏日や最高気温の新記録が各地で相次いだのは、強い太平洋高気圧が日本を包み込んだためでした。関東から西日本にかけての日本列島が、まるで亜熱帯に移動したような形になりました。太平洋高気圧が発達したのは、フィリピン近海から日本近海にかけての海水温が異常に高くなっていたからです。さらに、水温が高い海面からの水蒸気の蒸発が、台風発生のエネルギーにもなっていました。
注目されるのは、ことしの台風がつぎつぎ日本に接近・上陸してきただけでなく、例年になく強いまま北上してきていることです。九月二十九日に上陸した台風21号では記録的な最大瞬間風速を観測。今回の22号でも、伊豆半島の石廊崎で観測史上最高の最大瞬間風速が67・6メートルにもなる暴風雨となりました。
気象専門家は、台風が強いまま日本にやってきたのも、日本近海の海水温が高くなっていたため台風へのエネルギー補給がつづいたことがかかわっているとみています。
水温が高い海域が北よりに移動しているのは、地球規模での温暖化の影響という専門家の指摘があります。今後、地球温暖化が進めば、強いままの台風がたびたび日本に接近・上陸したり、ゲリラ的な集中豪雨多発などをもたらすことが懸念されています。
宇野龍彦記者