2004年10月9日(土)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は七日、労働基準法で禁止されている女性の坑内労働や重量物取り扱い業務等にかかわる規制を見直す専門家会合の設置を決めました。
労働基準法では、女性の坑内労働は原則的に禁止されています。また省令で、一定以上の重量物を取り扱う業務と、鉛や水銀などの有害物等を発散する場所での業務を禁止しています。
今回、設置されるのは、「女性の坑内労働に係る専門家会合(仮称)」および「母性保護に係る専門家会合(仮称)」。来年の夏ごろをめどとしてとりまとめをおこなう予定です。現在、おこなわれている均等法の見直しとあわせ、並行して検討がすすめられるとみられます。
今回の見直しでは、科学技術の進歩をふまえた「専門的見地(医学、労働衛生面等)から」検討するとしていますが、安易な規制撤廃は、女性の体、妊娠・出産機能への深刻な影響、障害を引き起こしかねません。
労基法の規定は、母性保護の見地から設けられてきたものです。重い物を運搬する作業を日常的に行ったり、有害物質の飛散する場所での作業は、一般的な人体に対する影響以上に、子宮や卵巣などの妊娠・出産機能に対し有害な影響が大きいことが医学的にも明らかにされています。
一九九七年の均等法改正の際にも、セットで労働基準法が改悪され、女性労働者に対する時間外労働、深夜・休日労働の制限規定が撤廃されています。それ以降、女性の残業、深夜労働は増加し、健康不安、月経不順、下腹部痛などが増える傾向にあります。
坑内労働、重量物取り扱い業務等の規制が撤廃されるならば、妊産婦以外の女性に対する就業制限はいっさいなくなります。
今回の均等法の見直しとセットで、母性保護をさらに切り捨てようとしていることは重大です。