2004年10月8日(金)「しんぶん赤旗」
南野(のおの)知恵子法相(自民党参院議員)の後援会が日本看護協会の政治団体「日本看護連盟」から昨年一億五千万円もの献金を受け、後援会と連盟の政治資金収支報告書の献金日付が七カ月も食い違っていたことがわかりました。公益法人である協会と政治団体の連盟は所在地が同じで事実上一体の関係にあり、日歯連事件のなかで公益法人と政治団体の「峻別(しゅんべつ)」を求めた厚生労働省の事務連絡文書の趣旨にも反する疑いがあります。
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献金を受けていたのは「のおの知恵子後援会」。後援会事務所は日本看護連盟がある日本看護協会ビルの中にあります。
同後援会と連盟は、電話番号も同じ、代表者、事務担当者もそれぞれ同じです。同じ人物が一億五千万円ものカネをいわば右手から左手に移しているだけの関係です。
しかも、一億五千万円の授受の日付は、連盟の〇三年分政治資金収支報告書では十月二十四日なのに受け取った後援会の報告書では三月三十一日。七カ月も食い違っていました。これについて、両団体共通の事務担当者は「三月三十一日に振り込みがあった。忙しくて訂正ができていないが、訂正する」などと説明しました。
さらに問題なのは連盟と公益法人である社団法人「日本看護協会」との関係です。両団体は、本部の所在地が同じだけでなく、連盟の各都道府県支部のうち、二十七府県支部が協会の支部と同一所在地です。
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連盟はホームページで、「看護協会の目指す政策や意見を反映させ、解決する」目的で、「看護協会は昭和三十四年十月(一九五九年)政治団体である日本看護連盟を設立しました」と説明しています。両者は設立経過からみても、実態からみても事実上一体です。連盟の会員は協会会員で構成され、〇三年の収支報告書によると、十九万五千五百五人の会員から九億七千七百五十二万五千円を集め、日本医師連盟に次ぐ集金力を持っています。
南野法相は、看護連盟の組織内候補として、ことし七月の参院選で三選しました。そのさい、兵庫県看護協会の理事を務める同県赤穂市民病院の看護部長が地位を利用して、後援会入会を部下に勧誘するなどして、公選法違反容疑で逮捕される事態も起きています。
厚生労働省は、日歯連事件のなかで四月二十七日、日本歯科医師会などの公益法人が表裏一体の政治団体をつくって組織ぐるみ選挙をおこなっていることにたいし、公益法人とその政治団体の活動を峻別するよう求める事務連絡文書を各都道府県と日本看護協会などにも出していました。
この文書の趣旨からみても連盟のあり方や南野法相の姿勢が問われます。