2004年10月7日(木)「しんぶん赤旗」
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坂井秀至(ひでゆき)六段(31)一勝、溝上知親七段(27)一勝のタイで迎えた囲碁の第二十九期新人王戦(本紙主催)決勝三番勝負第三局が六日、東京・千代田区の日本棋院でおこなわれ、第二局につづいてまたも半目差で溝上七段が連勝し逆転優勝となりました。
決勝戦の決着が三局目にもつれ込んだのは、第二十三期の山下敬吾六段対高尾紳路六段(段位はいずれも当時)戦以来六年ぶりです。対局は立ち会いの石田章九段や奥原紀晴赤旗編集局長代理らが見守るなか午前十時開始。握り直して坂井六段の先番となりました。
決勝第一、二局では序盤から中盤にかけて溝上七段がリードを奪い、坂井六段が追い上げました。第三局は、坂井六段が左下で確定地を作り、溝上七段が右下と右上で地をかせぐ展開となりました。中盤は、薄くなった中央の白三子をどうさばくか、両者の読みが激突しました。
その後は左辺から上辺にかけてのたたかいとなり、夕食休憩の128手までの局面では、控室の棋士たちは一様に「黒の坂井六段の勝ち」という判断を下していました。夜戦に入って細かい形勢となり「逆転しました」(石田九段)の声が出ました。
強豪同士の対戦にふさわしく、三番とも手に汗握る好勝負でした。
溝上七段は、実力を発揮しての優勝。坂井六段は、関西棋院勢としては、昨年の藤井秀哉五段につづいての惜しい準優勝でした。
溝上七段の話 途中まではまあまあと思っていましたが、夕食休憩のころはあきらめていました。勝てたのは自分でも驚いています。
坂井六段の話 計算違いをしていました。勝ちきらなければならない碁でした。終盤は悔いが残ります。残念です。
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先番 坂井秀至六段
溝上知親七段
(251手完 白半目勝ち)
204(193)225(182)242(19)245(118)249(154)