2004年10月3日(日)「しんぶん赤旗」
米大リーグ、マリナーズのイチロー選手(30)が一日(日本時間二日)のレンジャーズ戦でヒットを連発し、大リーグ年間最多安打記録を塗り替えました。一九二○年にジョージ・シスラーが二百五十七本を打って以来、破られなかった大記録。マリナーズの本拠地、シアトルのスタジアムでは観客が総立ちで拍手を送り、日本国内ではテレビ観戦したファンが「歴史的瞬間を見た」と熱狂しました。
西武ドーム |
○…「イチロー、すごーい。イチローと球界再編で、野球もっと盛り上がれ」――。パ・リーグプレーオフ、西武対日本ハム戦が行われた埼玉・所沢市の西武ドーム前。
東京都国立市の宇田利也さん(28)=広告代理店勤務=は「今回の記録は、もうあと百年は抜かされないと思う。もっと野球の話題で盛り上がって、野球を楽しむ子どもたちが増えてほしいです」とのべました。
東京都府中市の船渡川(ふなとがわ)歓さん(28)=家事手伝い=は「イチロー選手は、一流を超えています。アメリカで活躍しているイチローも、野茂も、球団合併で消滅したチーム出身ですよね。合併問題の騒動のあと、ホットな話題でうれしい」と話しました。
所沢市の手塚美千瑠さん(23)=会社員=は「イチローの活躍は野球ファンの一人として、うれしいです。(アメリカのように)今後、日本でも地元に密着した球団が増えるといいですね」と語りました。
同市の大石孝子さん(41)=主婦=は「すごいよねー。同じ日本人として、誇りに思います」と話していました。
東京ドーム |
○…「やった! すごい」。テレビ中継が放映された東京・後楽園の東京ドーム内のベースボールカフェ。
一打席目。外野に達するヒットが飛びました。タイ記録です。室内の客は、立ち上がってガッツポーズ。歓声にわきました。
「さすがイチロー。一打席の早い段階で打った。プレッシャーなどない。余裕です。これなら新記録達成できる」と話すのは友人ときた東京・調布市の安藤淳さん(25)。
第二打席、二百五十八安打目をたたき出すと、割れるような歓声と祝福するクラッカーの音が室内に響きました。
「今年は内外ともにプロ野球が面白い」という安藤さん。「イチローが日本人として最高峰レベルの世界記録をつかんだわけで、世界の舞台で活躍する日本選手がもっと出てきてほしい。国内では初めてプロ野球選手会のストライキがおこなわれ、新しい活力を作り出す刺激となりました。古田選手会会長の頑張りにも拍手を送りたい」
愛工大名電高 |
○…イチローの母校、愛工大名電高(名古屋市千種区)では教職員、生徒ら五十人がテレビで観戦しました。新記録のヒットの瞬間「ウォーッ」という声。総立ちになり、「バンザーイ。バンザーイ。バンザーイ」と声を限りに一斉に叫びました。
この日はほとんどの生徒は休みで、特別進学教室に出席した生徒らが登校。同校本館玄関の大型スクリーンの前に職員、生徒が集まりました。
桜井正一校長は「偉大な先輩を誇りに思ってくれ」と興奮した表情。「もっと、もっと、打ってほしい」と女子生徒。男子生徒も「どんどん記録を伸ばして」。
イチローが三年の時の担任だった原野照久教諭(48)は「授業を一生懸命聞いていた。瞳がぎらぎら輝いていた」と当時を振り返り、「ベーブ・ルース以上の選手になるとは驚いている」と話しました。
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日本共産党書記局長・市田忠義さんの話 すばらしいの一言に尽きますね。(前記録保持者の)シスラー氏の時代とはピッチャーの投球術、起用法も格段に進歩しており、その点でも偉大な記録です。
風土や環境の違うアメリカでプレッシャーとたたかい、平常心を保つのは並大抵の努力ではできない。新たな成果に到達してもよしとせずさらに上をめざし、一つの道を探求する求道(ぐどう)者のような向上心で鍛錬を積み重ねたからでしょう。
そんな生き方が大記録につながり、ファンの共感を呼んでいます。
技術的には、個性的なフォームで、どんなボールにも反応できる。加えて足が速く守備もうまい、攻走守そろっている。型にはめずに個性を伸ばしてきた結果です。長所を生かして一歩でも二歩でも前進するため頑張るのは、私たちの党活動にも通じますね。