2004年9月28日(火)「しんぶん赤旗」
二十七日午後発足した第二次小泉改造内閣。日本歯科医師連盟(日歯連)の一億円ヤミ献金事件で、旧橋本派幹部の村岡兼造元官房長官(73)が政治資金規正法違反の罪で起訴された衝撃が残る中で、発足しました。日歯連マネーを受け取った三役・閣僚の顔ぶれなどをみると―。
改造内閣の閣僚十三人が日歯連献金を受け、その合計は千六百二十三万円にのぼっていました。(別表)
これは、日歯連と日歯連都道府県組織の政治資金収支報告書(二〇〇〇―二〇〇二年)と、九月十日付官報で公表された二〇〇三年分の国会議員側の収支報告書の記載を本紙が調査したもの。
金額が大きかったのは麻生太郎総務相、町村信孝外相、小泉純一郎首相、谷垣禎一財務相、中山成彬文部科学相の順。公明党から入閣した北側一雄国土交通相も七十万円の日歯連マネーを受け取っていました。
自民党新三役も、武部勤幹事長が六十五万円、与謝野馨政調会長が五十万円、久間章生総務会長が五十万円をそれぞれ受け取っていました。
なかでも一億円のヤミ献金を受け取った旧橋本派では、問題の一億円の一部が使われたとみられる〇一年末に、伊藤達也・金融担当相と棚橋泰文・科学技術担当相がそれぞれ二百万円の「もち代」(注=暮れの手当金)を受け取っています。自分の受け取ったカネが日歯連マネーとどういう関係にあるのか、説明を聞きたいところです。
日歯連は〇二年までの三年間に計約十五億四千万円、〇三年に約三億一千二百万円を国民政治協会に献金し、うち少なくとも四千万円が実際は元厚生労働政務官の佐藤勉衆院議員(自民)ら五人への迂回献金だったことが判明しています。日歯連献金を受け取った三役・閣僚は、迂回(うかい)献金を受けていないかどうか、すすんで明らかにする必要があります。
日歯連はもともと、公益法人・日本歯科医師会に加入した会員を、同時に日歯連に強制加入させて会費を徴収し、政界工作資金に使ってきました。その仕組みは「思想・信条の自由の侵害」だとして各地の歯科医師が提訴。歯科医師側が実質勝訴し二〇〇二年三月に日歯連が「入退会の自由」を認めるまで続きました。
こんな手法で集められ、政界にばらまかれた金は二十七億四千万円(二〇〇〇―二〇〇二年、地方分含む)。日歯連は同時に診療報酬改定をめぐる贈賄やヤミ献金の政治資金規正法違反事件を起こしており、日歯連マネーにどういう態度をとるか、閣僚の姿勢が問われます。
(単位万円)
小泉純一郎 総理 150
麻生 太郎 総務 390
町村 信孝 外務 370
谷垣 禎一 財務 135
中山 成彬 文部科学 100
尾辻 秀久 厚生労働 12
中川 昭一 経済産業 74
北側 一雄 国土交通 70
小池百合子 環境・沖北 60
細田 博之 官房 82
村田 吉隆 国家公安 50
村上誠一郎 行革・規制 50
棚橋 泰文 科学技術 80
自民党新3役
武部 勤 幹事長 65
与謝野 馨 政調会長 50
久間 章生 総務会長 50
安倍 晋三 幹事長代理 80
<注>日歯連(本部と都道府県組織)の政治資金収支報告書(2000-02年)などで作成