2004年9月28日(火)「しんぶん赤旗」
内閣府の食品安全委員会や厚生労働省・農水省は「BSE対策に関する意見交換会」を各地で開いています。BSE(牛海綿状脳症)の国内安全基準をゆるめてアメリカ牛の輸入解禁を検討していますが、そのため“二十カ月以下の牛は現在の検査技術では発見ができない”との理由をつけ、BSE全頭検査の見直しをしようとしています。
東京で開いた意見交換会で意見表明(大要は別項)した農民連食品分析センターの石黒昌孝所長(食の安全・監視市民委員会運営委員)は、「安全・安心できる牛肉や加工品のためにBSE全頭検査の継続を望む人は、積極的に意見表明を」と呼びかけます。
二十七日現在、参加申し込みが可能な意見交換会は次の通りです。(申し込みの詳細はインターネットのホームページ参照)
【BSE対策の意見交換会の日程】
◆食品安全委員会( http://www.fsc.go.jp )主催
(1)十月六日(水) 福岡市・エルガーラホール
(2)十月八日(金)札幌市・札幌プリンスホテル国際パミール(時間はいずれも午後一時半から四時まで)
◆厚生労働省・農水省( http://www.maff.go.jp )主催
十月五日(火) 名古屋市・愛鉄連厚生年金基金会館 午後一時半から四時半
食品安全委員会の中間とりまとめでは、全頭検査を見直し、二十カ月齢以下の除外をすすめようとしているが、科学的根拠はありません。二十カ月齢以下では異常プリオンがみいだせなかったというだけであって、今後も検出される可能性が十分あります。もっと若い牛でも検出できる新しい検査法も開発されています。アメリカのプルシュナー教授らの方法は生きている牛で若い牛でも発見できるといいます。全頭検査体制を続けながら、新しい検査方法の開発を急ぐことこそ重要です。
日本で二十カ月齢以下を検査からはずすといっても、と畜数の7%程度です。一方、アメリカの場合は二十カ月齢以下だと八割が検査不要といわれています。生産・流通の履歴がわかるトレーサビリティーの仕組みがなく、歯で牛の月齢を判断するなどずさんです。
特定危険部位の除去焼却についても問題です。日本はすべての牛の危険部位を処理しているが、アメリカは三十カ月齢以上であり、機械脱骨もあるなどきわめて不十分なものです。危険な牛肉や加工品が大量に輸入されることになります。
日本のBSE対策は、全頭検査、危険部位の焼却、牛の肉骨粉の焼却など国民の安心、安全を守るすぐれた体制ですし、圧倒的多数の国民が支持しています。全頭検査体制を堅持すること、安全対策未確立のアメリカ産牛肉の輸入は解禁しないことが必要です。