2004年9月28日(火)「しんぶん赤旗」
国のBSE(牛海綿状脳症)対策事業を悪用した牛肉偽装事件で、詐欺などの罪に問われた食肉大手「ハンナン」元会長浅田満被告(65)が統括するハンナングループ企業数十社に対し、大阪国税局は二十七日、いっせい税務調査を始めました。
企業の申告内容と実際の財務状況が符合するかどうかなどを含め調査を進め、不正利得の流れの解明を目指します。
同被告は、牛肉偽装で巨額の不正な利益を得ました。しかし、その使途は判明していません。同被告は、自民党農水族議員や農水官僚に献金や接待を繰り返してきたことが明らかになっていますが、巨額の不正利得がどう使われたのか解明が求められます。
大阪府警などの調べによると、浅田被告は二○○一年から○二年にかけ、全国同和食肉事業協同組合連合会(全同食)など、同被告が役員を務める二団体を通じ、事業対象外の牛肉計四百三十四トンを含む牛肉の買い上げや処分費用などを申請、助成金約五十億四千万円を不正に受け取りました。牛肉仕入れや保管経費を差し引いた同被告の実質利得は約十三億四千万円でした。
同時に、同被告にかかわる税務調査では、部落解放同盟(解同)がらみの税務申告の「特別優遇」にもメスが入るかどうかも注目されます。同被告が副理事長を務める部落解放大阪府企業連合会(大企連)は、解同の外部団体です。同団体経由の税務申告は事実上フリーパスで認めるという「七項目の確認事項」が一九六八年に税務当局との間で結ばれました。日本共産党はこの事実を明らかにして、国会や大阪府議会で追及してきました。