日本共産党

2004年9月25日(土)「しんぶん赤旗」

近鉄、地元ファンに“サヨナラ”の贈り物

大阪ドーム


 近鉄バファローズらしい劇的な幕切れでした。

 本拠地・大阪ドームでの最終戦。同点で迎えた延長十一回、西武の森投手から大村、星野両選手が連続二塁打でサヨナラ勝ち。二塁ベース上で抱き合う選手の姿は、まるで優勝を決めたときのような喜びようでした。

 四万八千の観客がグラウンドを見詰めました。投げる、打つ、走る、守る――。一つひとつのプレーに、わきあがる大歓声が胸にしみました。

 五回には、西武・松坂投手がマウンドに。球界のエースと猛牛打線の対決に、ファンの応援も、いっそう力がこもりました。

 六回には近鉄の四番・中村選手との対戦が実現。150キロのストレートを、中村がフルスイングで空振り。結果は二塁ゴロでしたが、ファンも選手も“名勝負”を心から楽しみました。

 試合には右アキレス腱(けん)を断裂していた吉岡選手やストッパーとして活躍した赤堀投手をはじめ、近鉄を支えてきた選手らが次々と登場。ファンはそのたびに立ちあがり、惜しみない拍手を送りました。

 最後までチーム存続を経営者側に訴えた礒部選手会長が打席に入ると、誰よりも大きな拍手がわき、試合後も「礒部、礒部」の大合唱。「よくがんばった」「ありがとう」の大声援を受けました。

 試合後、「夢をありがとう」などと書かれた、たくさんのボードや横断幕が揺れるスタンドに、選手たちはサインボールを投げ込みました。ベンチ前の西武ナインとも固い握手を交わします。選手やファン、そして裏方たちの目には涙が浮かんでいました。

 熱烈なファンは「ぼくの命だった」「自分自身を失うような気持ち」と口々に語りました。ファンにとって愛するチームがなくなることほど、つらいことはありません。

 55年の歴史に幕を閉じる近鉄。大阪での最後の夜に、ファンに最高の贈り物をした選手たちは輝いていました。

 栗原千鶴記者



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