日本共産党

2004年9月24日(金)「しんぶん赤旗」

“まるで監獄”深夜勤

吉川参院議員らが調査

仮眠なく拘束11時間 4日連続

改善・廃止へ郵産労が運動


 日本郵政公社が「効率化」を名目に今年二月から全国にある三百二十の郵便局に導入した「深(ふか)夜勤」(別項(1))と呼ばれる深夜勤務制度。郵便労働者から「こんな過酷な制度は、一日も早くやめてほしい」という声があがっています。日本共産党の吉川春子参院議員らは二十一日、深夜勤務に苦しむ労働者と懇談し、四日連続の深夜勤を実施している東京・豊島区の豊島郵便局を現地調査しました。


東京・豊島郵便局

表

 この日、吉川参院議員らに深夜勤の実情を訴えたのは、郵産労(郵政産業労働組合)豊島支部書記長の渡辺和宣さん(51)と、同支部執行委員の藤原朝治さん(60)です。渡辺さんは豊島郵便局の普通郵便課、藤原さんは郵便窓口課で働き、深夜勤務が導入されています。

 二人が「深夜勤はあまりにひどい。せめて、二月以前の『新(ニュー)夜勤』(別項(2))に戻してほしい」と訴えました。

 「十年くらい前、『新夜勤制度』が導入されたとき、労働者から“こんな過酷な勤務はやめてほしい”と訴えられました。その制度に、せめて戻してほしいというのですか」と吉川議員。

 渡辺さんは、「郵便局に勤めて三十五年。いろんな深夜勤務をやってきましたが、今回の『深夜勤』のひどさは比べものになりません」といいます。

 「前日の午後十時から勤務に入って、仮眠もなく拘束十一時間勤務。午前九時に勤務が終わっても、その日の午後十時にまた勤務につかないといけないので、解放感がまったくない。家に帰ってシャワーを浴び、昼食もどきを食べて、酒を飲んで、ひたすら寝るだけ。眠れないとイライラし、肉体的にもきついですが、精神的に憂うつになります」

何もできない

写真

深夜勤のある豊島郵便局を視察する吉川参院議員(中央)=21日午後10時過ぎ

 藤原さんも、「四日連続の深夜勤にはいると、その一週間は、家庭的にも社会的にも何もできません。仲間の一人が『監獄にいるようだ』といいましたが、本当にそう思います」と訴えました。

 吉川議員らは、豊島郵便局の古河豊吉局長から説明を聞き、午後十時すぎから視察しました。

 十三万二千世帯の豊島区全域を受け持つ同郵便局は、一日に平均約三十九万通の郵便物を引きうけ、二十四万通の郵便物を配達します。正職員、非常勤職員合わせて三十人程度の労働者が深夜勤についているといいます。

 騒音をたてて作動する巨大な郵便番号自動読み取り区分機につく労働者、コンピュータ画面を見て、郵便番号を次々に打ち込む労働者。郵便物の入ったプラスチックの箱を十数個入れた滑車付きのカゴを押して、大型郵便車に積み込む労働者もいます。


3人が在職死

 吉川議員は「深夜労働がやむを得ない仕事はあるにしても、健康を破壊し、家庭生活も社会生活もまともにできない働き方は問題。深夜労働の規制と、改善をもとめていきたい」と話していました。

 郵産労の調べによると、二月の「深夜勤」導入後、東京都内だけで三人の労働者が在職死亡しています。郵産労は、各地で労働者から深夜勤についてのアンケートにとりくみ、実態をつきつけて改善を要求しています。また、四十二人の組合員が原告となって、深夜勤の廃止をもとめて裁判を起こしてたたかっています。


 別項(1) 深(ふか)夜勤

 今年二月から新しく導入された「深(ふか)夜勤」は、午後七時から翌午前六時までや、午後十時から翌午前九時までの拘束十一時間勤務で、仮眠時間はありません。これを、勤務が明けた日の夜にまた勤務に入るということを最大四日くり返します。郵政公社は、四週のうち、最大八回の深夜勤がありうるとしています。


 別項(2) 新(ニュー)夜勤

 深夜勤以前からあった制度で、十四時間勤務で途中約二時間の仮眠をとることが可能でした。

 「新夜勤」明けの翌日は原則として非番か週休にすることが労使慣行で認められていました。



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