2004年9月24日(金)「しんぶん赤旗」
日本のプロ野球創設七十年という節目の年に起きた激動。ストライキ、署名活動、交流集会…。六月十三日の近鉄、オリックス両球団の合併合意以降、これまで経験したことのない運動に身を投じた、選手とファンのたたかいは、球界の大きな転機をつくりました。
その選手とファンのたたかいを追い続けた三カ月。両者のきずながどんどん深まっていくのが、手に取るように伝わってきました。
選手会がストを決行した十九日に銀座で開かれたファンとの交流集会。古田選手会長らが登壇すると、会場からは大歓声がわき、「ふ・る・た」コールがなりやみませんでした。球界のあり方について、選手とファンがともに考え、互いの認識を深めていく――。ぎっしり詰まった会場は一体感でいっぱいでした。
球界の将来をみすえ、史上初のストで“球団削減阻止”の強い意志を示した選手会と、それを圧倒的に支持したファン。この両者の力が、これまで経営者の思惑だけで動いてきた球界の厚い壁を突き崩しました。
今後は、その新たな力をどう発展させ、球界に根づかせていくか。
これを契機に、全球団の繁栄を視野に入れ、ドラフトや放映権料の管理運営方法など、抜本的な制度改革に足を踏み出すことが必要です。
選手もファンも、これまで以上にきびしい目で組織や球団運営を見詰めています。交渉で使われた球団側の「誠意」という言葉が本物かどうか。
合併の当該球団である近鉄・礒部、オリックス・三輪の両選手会長は、この日の記者会見で、合併を阻止できなかったことについて、目に涙を浮かべながらファンにおわびし、こう続けました。
「いろいろな方面に選手が行くと思うが、来年も精いっぱいがんばる。応援してください」(三輪)「球団がなくなっても、バファローズへの愛着やそこで育った誇りは消えません。これからも日本のプロ野球を応援してください」(礒部)
二人とも悔しさをこらえながら、それでも「来季も十二球団」という球団側の言葉を信じて妥結したのです。その選手やファンの思いに球団側がこたえるためには、真剣に、早急に、改革にとりくむ以外に道はないでしょう。
栗原千鶴記者