2004年9月23日(木)「しんぶん赤旗」
労働法の学者や研究者らが参加する労働運動の研究機関、労働運動総合研究所は二十一日、「プロ野球選手会・NPB(日本プロ野球組織)の実りある団体交渉のために」と題した大須眞治事務局長(中央大学教授)の発言を発表しました。
発言は、球団関係者のなかに、いまだに選手会を労働組合として認めない人々がいるが、選手会が一九八六年に結成以来、東京都地方労働委員会や東京地裁、東京高裁によって、繰り返し労働組合法上の労組と認定されてきたと紹介。またNPBのなかには、選手会と「折衝」しているのであって、団体交渉をしているのではないとの主張があるが、こうした言動は団交拒否の不当労働行為として現行労働法に抵触する、と厳しく批判しています。
争点になっているオリックスと近鉄の合併が経営事項なのか団交事項なのかという問題については、合併に必ず付随する移籍、解雇、失業、再就職、労働条件変更などが団交事項であることは誰でも認めざるを得ないと主張。従って選手会が合併問題にかかわる要求を提出し、その実現をめざしてストライキを実施しても何の違法性も存在しないとのべています。
NPBがスト実施に対し、損害賠償請求を行うとしている問題も、労組は民事免責や刑事免責を保障されており、そうした請求権は存在しないと強調。場合によっては、労組に不当な圧力を加えるための行為とみなされ、労働組合法第七条で禁止している支配介入違反に問われるとしています。
今回のプロ野球での団交やストの帰すうは、日本の労使関係を健全に発展させ、さらに日本の民主主義を充実させていくうえで非常に重要な問題であると指摘。労働問題研究者も、広範な国民とともにプロ野球の発展のために力をつくすと表明しています。