日本共産党

2004年9月18日(土)「しんぶん赤旗」

プロ野球スト突入へ

経営側、球団削減に固執

70年の歴史で初 きょうあすの2日間


 七十年に及ぶプロ野球史上初のストライキが決まりました。今季途中で突然出てきたオリックスと近鉄の球団合併の一年間凍結などを求めてきた労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は十七日、前日に続いて東京都内のホテルで日本プロ野球組織(NPB)との団体交渉にあたる協議交渉委員会にのぞみましたが、妥結に至らず、十八、十九日の全試合のストに入ります。


 時間を大幅に延長して続いた話し合いの最大の争点は、新規参入球団の受け入れについてです。「来季に向けて最大限の努力」(古田選手会長)を求めた選手会に対し、NPB側は「審査など時間的なものがある」として、来季の参入に難色を示したため、最終的に話し合いは決裂しました。

 古田選手会長は記者会見で「われわれとしては一つの球団がなくなるということは、選手やファンにとっても、プロ野球にとっても、大きな影響があると考えています。十一球団はいびつな形だと思う。たとえオリックスと近鉄の球団合併を凍結できないのなら、新規参入を促すことができないのかと三時間以上延長して訴えたが、無理だということでした」と話しました。

 六月十三日の両球団合併合意の発表以降、性急な合併と球界再編に暴走する経営者側に対して、選手会は球団存続を願う多くのファンらとともに一方的な球団削減に反対するたたかいに立ち上がりました。百二十万人をこえる署名を集め、実質的な交渉を経営者側に求めましたが、その声に耳を傾けないまま合併を進める球団側に対して、ストライキ権を確立。こうした選手やファンの動きに球団側も団体交渉のテーブルにつきましたが、インターネット関連会社のライブドアなど参入希望の企業が申請を行うなかで、あくまで削減の方向にこだわる相手にスト決行を決意しました。


ファンの期待に応える努力願う

市田書記局長語る

 プロ野球選手会がスト決行を決めたことについて、日本共産党の市田忠義書記局長は一ファンとして次のように語りました。

 「選手会のストライキ決行を厳粛に受け止めたい。ここに至った経過には、選手の身分やファンの夢を左右する合併・再編問題を、選手とファンを無視して球団側が一方的に進めてきたことが大きいと思う。『野球が見られない』ということは残念な事態だけに、経営者側と選手会が事態の正常化に誠心誠意努め、多くのファンの期待に応えてほしい」


新しい球界への望み

 「申し訳ありません。ファンの皆様に心からおわびします」

 記者会見で古田選手会長と協議交渉委員会の瀬戸山委員長(ロッテ球団代表)は同じ言葉を口にしました。しかし、両者の思いには大きな隔たりがありました。

 突然の合併劇に、選手会は球団存続を求めて、ファンとともにたたかってきました。しかし球団側は、オーナー会議で決まった来季セ・リーグ六球団、パ・リーグ五球団の線を最後まで崩しませんでした。

 選手会は話し合いのなかで、オリックス、近鉄の合併一年延期が無理ならば、来季からの新規参入を積極的にすすめることで妥結の道を探りましたが、球団側はそれに対しても「来季は難しい」という姿勢をとりつづけました。

 選手会がストを決断したのは、プロ野球の将来にとって安易で一方的な球団削減でいいのか、という強い思いがあるからです。「今後、どういう方向に向かっても、ファンに支持されるプロ野球を目指さないといけないし、そういう時期をいま迎えている。建設的な議論を重ね、いいプロ野球を構築していきたい」。古田会長の決意に、新しい球界づくりの望みを託したい。

 代田幸弘記者



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