2004年9月16日(木)「しんぶん赤旗」
NTTリストラによって、NTT東日本、西日本を退職して三割以上の賃金カットで地域子会社に再雇用された労働者の八割が、生活が「苦しい」と回答―。こんな実態が通信産業労働組合が実施したアンケートで明らかになりました。
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退職・再雇用に応じて地域会社に移った労働者の賃金減額は、「月六万から十万円」が62%と最も多く、「月十一万から十五万円」が22%、「十六万円以上」も6%あります。【グラフ1】
「基本賃金30%減」が手当や時間外賃金などすべてに影響し、生活実感は「かなり苦しい」が37%、「やや苦しい」46%で、合わせて83%が「苦しい」と訴えています。
記述欄には、「給料が大幅に減ってしんどい。住宅ローンも返せない」「子どもの学費がかさむ時期がこれからなのに不安でいっぱい」などの声が寄せられています。
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退職・再雇用に応じた労働者の多くが“同じ場所で同じ仕事をつづけられる”とのNTTの説明を信じてやむなく地域子会社を選択しましたが、アンケートでは、「勤務先の変更があった」が11%、「業務内容の変更があった」も8%あり、さらに3%の労働者が勤務する「都道府県を変更された」と答えています。
「今の仕事に働きがいがありますか」との問いには、70%が「いいえ」と回答。NTTの「五十歳退職再雇用制度」について、「やむを得ない」は11%で、四人に三人にあたる75%が「廃止すべきだ」としています。【グラフ2】
記述欄には、「本来業務が遂行できない。毎日の仕事に追われているにもかかわらず、販売活動を強いられている」「会社の一貫性、職場のまとまり、協力、協調性がない」「仕事にやる気、生きがい、働きがいを感じなくなり、人間関係も悪くなりつつある」と批判の声が相次いでいます。
通信労組の岩崎俊委員長は、“地域子会社に移れば同じ場所で同じ仕事をつづけられる”とした約束違反が今後多発する危険性を指摘。「厳しく追及していきたい」と話しています。
アンケートは、地域子会社の五十一歳以上の労働者百九十一人からの回答を集計しました。
NTTリストラ NTTは、固定電話にかかわる業務を新しく設立した地域子会社に外注化。五十一歳以上の労働者約六万人に対し、“NTTを退職し、基本賃金三割ダウンで地域子会社への再雇用に応じよ、応じないと全国どこでも異職種配転する”と迫りました。二〇〇二年五月、約五万二千五百人の労働者が応じ、地域子会社に事実上転籍。五十歳以下の労働者四万二千五百人はNTTに在籍のまま地域子会社に出向させられ、約二万人の退職者を含めて十一万人以上がリストラされました。