2004年9月12日(日)「しんぶん赤旗」
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貸金業規制法などが改正された昨年、サラ金業界の政治団体「全国貸金業政治連盟」(全政連)が業界への「理解」を求めて「渉外費」約千二百五十万円を使い、自民、公明、民主三党国会議員三十人のパーティー券購入や高級料亭での懇談などにあてていたことがわかりました。高金利維持といっそうの引き上げをねらうサラ金業界と政界との関係が問われています。
これは本紙が入手した全政連資料や十日付官報で公表された二〇〇三年分政治資金収支報告書で判明したもの。
パーティー券の購入先として報告書に記載されているのは、自民党の石原伸晃国土交通相(六万円)、甘利明筆頭副幹事長(四十八万円)、「金融サービス制度を検討する会」会長相沢英之前衆院議員(十六万円)、民主党財務局(二十六万円)、岡田克也民主党代表(六万円)、公明党の山名靖英衆院議員(七万五千円)らで、自民二十六、民主三、公明一。ほかに自民党機関紙誌約七十万円分、「公明新聞」約六十二万三千円分などの支出も。
出資法・貸金業規制法両改正案が国会提出前の昨年四月、東京・赤坂の高級料亭「金田中」で一回約八十五万円も使うなど料亭やホテルでの懇談も重ねていました。
政界工作について、全政連資料は「業界関連法が議員立法で成立していることにかんがみ…多くの議員と意思疎通をはかるパイプを築く」とし、パーティー券購入などは「業界の要望を訴え、その理解を得ていくための基盤作り」と位置づけています。
全政連の要望とは、現在でも高すぎると批判の強い出資法の上限金利をさらに引き上げることと、高金利を“合法化”する「みなし弁済」の適用要件緩和が中心。昨年の法改定では、これらの要望こそ反映しなかったものの「金利引き下げ圧力をはねかえし」、業界が反対する「営業保証金」「許可制度」の導入も回避された――と全政連資料などで政界工作の“成果”を誇っています。
公明党の上田勇衆院議員(党財政金融部会長)と自民党の甘利議員はことし五月の全政連総会に出席。上田議員は参院選での党候補推薦をふくめ「公明党にいろいろな形でご指導、ご支援を頂いて」いることに感謝。業界に「できる限りの協力をさせていただければと願っている」とまで発言しています。
みなし弁済 貸金業規制法四三条で規定されているもの。貸金業者のほとんどは利息制限法の上限(金額により年15―20%)より高い違法金利で営業しており、これは本来は無効ですが、「みなし弁済」が適用されたときだけ有効と認められます。適用には、契約書面交付など要件すべてを満たす必要があり、裁判で「みなし弁済」が認められることはほとんどありません。