2004年9月10日(金)「しんぶん赤旗」
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二〇〇三年のカネ集めパーティーによる収入は総額百二十九億七千七百万円で、前年より約三億五千万円(2・7%)増えました。収入全体に占めるパーティーの割合は9・3%。
一千万円以上の特定パーティーを開いた団体は七団体増え二百六十四団体。このうち、チケット購入者が明らかになっているのは収入額上位の十団体で、収入総額の16・4%にとどまり、相変わらず不透明です。
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パーティー収入の第一位は亀井静香元政調会長の後援会。亀井派会長就任パーティーで七千五百三十八人から三億六千五百十二万円集めました。二千五百九十万円の費用で、一晩に三億三千九百二十二万円の利益をあげる「ぬれ手でアワ」のカネ集めです。
製薬産業政治連盟は、七回のパーティーで二億円近い収入を集めました。コンビニでかぜ薬を販売できるようにするなど「規制緩和」政策推進のため活発に動いたことをうかがわせます。
民主党は、一億九千六百三十四万円のパーティー収入があり、自動車総連の百五十万円など連合系労働組合や、製薬産業政治連盟の百万円など業界団体が大口の購入をしています。このほか、小沢一郎、岡田克也両氏が一億円を超えるパーティー収入を集めています。
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自衛隊の戦車、艦船、航空機といった装備品などを受注している軍需企業が二〇〇三年に自民党に行った献金は、防衛庁との契約額上位十五社(〇三年度)で、計一億三千四百三十二万円にのぼっています。この上位十五社が〇三年度に防衛庁と行った契約総額は八千六百九十億円。同庁の年間調達額の約68%を独占しています。
軍需企業は今、儲け口をいっそう広げようと、新たな軍拡を政府・与党に強く迫っています。
国内最大の軍需企業で、〇四年の「事業計画」で「BMD(弾道ミサイル防衛)での中核企業として貢献」することを掲げる三菱重工業――。同社の西岡喬会長は今年五月、自民党の国防族議員らが参加したワシントンでの会合で、「ミサイル防衛」用装備の日米共同開発・生産を主張。憲法の平和原則に基づく、日本の武器禁輸原則が「足かせ」になっていると「緩和」を求めています。
日本経団連も今年七月、政府による新「防衛計画大綱」の年内策定に向け、「今後の防衛力整備のあり方について」と題する意見書を発表。「国力に応じた国際貢献」として自衛隊海外派兵のいっそうの推進を求めるとともに、軍事予算の「十分な確保」や武器禁輸原則の見直しなどを求めています。
こうした中、自民党国防部会の小委員会はすでに武器禁輸原則の見直し案などを提言。政府も検討作業に入っています。
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収入は前年より二十七億七千百六十万円増やし二百五十六億九千七百三十万円。政治資金団体の国民政治協会から三十五億四千三百六十万円を交付され、企業・団体献金は約三億円増えました。同協会への献金のトップは日本歯科医師連盟三億一千万円で、ほかに日本医師連盟二億八百万円、日本鉄鋼連盟八千万円、トヨタ自動車六千四百四十万円などがあります。
政党助成金は〇三年十一月の総選挙結果を受けて増え、百五十三億九千七百六十万円。新たにりそな銀行から二十億円を借り入れたため、収入に占める企業・団体献金と政党助成金、借入金を合わせた比率は81・5%にのぼります。
支出は百十六億九千五百六十万円増やし三百三億二千六百三十万円と、収入を大きく上回りました。内訳では組織活動費が八十一億四千四十万円(前年比151・5%)、宣伝などの事業費三十九億六千五百三十万円(同364・3%)と大盤ぶるまい。選挙関係費は二十億千四百九十万円(同965・9%)と助成金の13%にあたる額を選挙関係に使っています。
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収入は前年比七億八千百四十万円増やして百十四億四千二百万円。なかでも政党助成金は自由党との合併もあり九億六千三百九十万円増えて九十六億八千二百八十万円と収入の84・6%。党費はサポーター制導入の〇二年に三億円余を計上しましたが、〇三年は八千六百十万円に激減。個人献金は二百五十四万円でした。
企業・団体献金は五千六百七十万円。うち前年は事務処理上計上しなかった政治資金団体の国民改革協議会からの交付が五千五百万円で、同協議会にはデンソー四百五十万円、日本自動車販売協会連合会四百万円、スズキ二百九十万円などのほか製薬関係企業や組合からの献金が目立ちます。政治資金パーティーで一億九千六百三十万円を集め、連合(百万円)、全トヨタ労働組合連合会(百三十万円)などがパーティー券を買っています。
支出は百四十一億七千百五十万円で前年より九十一億三千五百六十万円も増えました。内訳では選挙関係費の伸びが大きく三十六億五千百五十万円を支出し、自民党を十六億円余上回りました。
収入は前年比二十億二千四百五十万円増の百七十四億八百六十万円。政治資金団体だった公明政治協会が〇二年十二月に解散し、〇三年一月に公明文化協会が設立されました。同協会の主な収入は不動産売買代金など四億円で、公明党に二億円交付しました。
事業収入は二十一億六百五十万円増えて百十六億二千五百七十万円。四億千百四十万円の広告収入が含まれます。政党助成金は二千四百五十万円増の二十九億三千七十万円。支出は三十五億五千七百五十万円増えて百七十三億八千七百六十万円。選挙関係費は前年六百万円でしたが、八億四千百二十万円と百四十倍に増えました。
収入は前年より五億四千五百五十万円減の二十七億六千百三十万円。党費(前年比99・3%)、個人献金(同65・6%)、事業収入(同94・3%)と減りましたが、企業・団体献金は六百四十万円増えて二千百四十万円。政党助成金は一億五百七十万円減の十六億八千六百三十万円。支出は一億七千百五十万円減って三十億五千七百三十万円。選挙関係費は国政選挙のなかった〇二年より六千五百六十万円減らして二億九千七百二十万円でした。
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二〇〇〇年から政治家個人の資金管理団体での企業・団体献金の受け取りが禁止されました。しかし、政党支部で企業・団体献金を集め、資金管理団体に「寄付」する手法が、企業・団体献金禁止の脱法的行為として問題になっています。〇三年もこうした事例が多く見られます。
自民党の中川昭一経産相は、代表を務める北海道第十一選挙区支部から前年の七千二百十八万円を上回る八千五百七万円を資金管理団体・昭友会で受け取りました。また政治団体の「中川会」でパーティー収入五千二十八万円を稼ぎ、四千三百八十七万円を昭友会に交付しました。昭友会の収入はこの選挙区支部や政治団体からの寄付によって前年比三千三百万円増の一億六千四百八十五万円にのぼりました。
自民・青木幹雄参院議員会長の資金管理団体・青木幹雄後援会には島根県参院選挙区第一支部から四千七百二十万円の寄付収入がありました。〇二年の選挙区支部の収支(〇三年十二月公表)で見ると、支部で集めた企業・団体献金は四千三百二十万円。ほかの収入は自民党本部からの交付金一千万円などで企業・団体献金は収入の八割を占めます。収入のうち四千九百五十万円を同後援会に回していました。
自民・倉田寛之前参院議長の〇三年の支部から資金管理団体・寛清会への還流は千八百九十四万円。〇二年は支部で千八百四十九万円の企業・団体献金を集め、寛清会に千二百八十五万円を交付しました。
自民党の七派閥・二グループが集めた政治資金は二十億八千六百八万円。前年比一億九千二百三十四万円増です。昨年十一月保守新党が自民党に合流し、二階グループができたことが影響しています。亀井派が前年より大幅に収入を増やしたのが目立ちます。各派ともパーティー収入の割合が多いのが特徴です。(収入順。カッコ内は収入全体に占めるパーティー収入の割合)
収入は前年比四千二百五十万円減の三億六千六百十七万円(65%)。パーティー収入が二億三千六百三十三万円。日本歯科医師連盟からの寄付は、百万円と記載されています。
収入は前年比七千四百六十五万円増の三億五千六百五十三万円。亀井静香氏の同派会長就任を祝うパーティーでは三億六千五百十二万円を集め、主催団体の同氏後援会が同派に二億五千万円寄付しています。
収入は前年比千五百九万円増の三億三千五百六十一万円(68%)。パーティー収入が二億二千八百六十四万円。元保守新党の小池百合子氏(現環境相)が、三十万円寄付しています。
収入は前年比五千五百八十万円減の二億五千七百五十七万円(49%)。パーティー収入が一億二千七百十一万円。
収入は前年比千四百三万円増の二億四千九百十万円(56%)。パーティー収入が一億三千九百五十五万円。
収入は前年比三千百四万円増の一億七千二百九十六万円(50%)。パーティー収入が八千六百十七万円。亀井派から三十万円寄付。
収入は一億六千六百八十四万円。保守新党からの寄付が八千八百九十八万円で53%を占めます。
収入は前年比二千五百八十三万円減の一億六百二十二万円(87%)。パーティー収入が九千二百二十七万円。
収入は前年比千四百八十二万円増の七千五百八万円(77%)。パーティー収入が五千八百四十六万円。
支出では、昨年十一月の衆院選前後に亀井、堀内両派などで百万円から五百万円が所属議員らに配られました。
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政治資金収支報告書は政党や政治団体が政治資金規正法に基づき一年間の収入と支出を届け出たものです。政治献金を受けることができるのは政党(支部含む)とその政治資金団体、政治家個人の資金管理団体(一団体限定)と政治団体です。
政治資金収支報告書の提出先は総務大臣(二つ以上の都道府県にわたって活動する政党や政治団体など)と都道府県選挙管理委員会(主に都道府県内で活動する政党支部や政治団体)の二つがあります。例年九月に公表されるのは総務大臣届け出分で、政治資金全体の半分に満たない額です。都道府県選管分は順次公表されるので政治資金の全体像が一度に把握できず、透明性を阻害する一因になっています。
献金には個人献金と企業・団体献金があり、政治資金規正法で金額の上限が決められています。
二〇〇〇年に政治家個人の資金管理団体に対する企業・団体献金が禁止されましたが、政党本部と支部、政治資金団体向けは温存されました。