日本共産党

2004年9月9日(木)「しんぶん赤旗」

リストラ効果にほくほく

利益増と人件費減ピタリ

法人企業統計でくっきり


 六日に発表された財務省の「法人企業統計調査」によると、大企業が「リストラ効果」で大もうけをあげ、しかも企業の利益拡大額は人件費の削減額とピタリ一致していることが分かりました。労働者を犠牲にした利益拡大の実態が浮き彫りになっています。


写真

「勝ち組」企業の代表といわれるトヨタ自動車=愛知県豊田市のトヨタ会館

 同調査によると、二〇〇四年四―六月期の全企業(金融・保険業を除く資本金一千万円以上の営利法人)の「経常利益」は、前年同期比34・3%増と高い伸びを示しました。ところが、企業の「人件費」(役員給与、従業員給与、福利費)は同0・2%のマイナスでした。

 従業員給与が抑え込まれている中、会社が負担する厚生年金などの法定福利費や福利施設負担額などの「福利費」が同9・5%減少したことが直接の要因です。

利益の6割大企業占める

 三カ月間という短期だけでなく、大企業のリストラを応援する小泉内閣が発足した二〇〇一年からみると、問題点がさらにはっきりします。

グラフ

 〇四年四―六月期の「人件費」は、三年前の同期と比べると実額で二兆四千百億円減少しています。その一方、「経常利益」の増額は「人件費」の削減額とほぼ同額で二兆四千七百億円増えています。リストラ・人減らしで人件費を削減し、利益を絞り出していることを示しています。

 「経常利益」のうちの54%を、企業数では26%しかない資本金十億円以上の大企業が占めています。

 日本の「勝ち組」企業の代表であるトヨタ自動車。四―六月期の国内自動車販売台数は前年同期に比べ五千台減少しました。

 ところが人件費などのコスト削減で利益を四百億円押し上げ、前年同期より28・8%増の二千八百六十六億円の純利益をあげています。

 同社の従業員は約二十六万四千人です。〇三年度の一年間で、臨時従業員(期間従業員、パート、派遣社員)を一万人増やし、人件費を削減しています。


日本経済の基盤こわす

 大企業が進める正社員の削減と不安定雇用への置き換えというリストラ策は、コスト削減による「競争力」強化が口実です。しかし、目先のもうけ本位の企業行動は、労働者の「使い捨て」をすすめ、日本経済の基盤そのものを弱くするものです。企業が「元気」になっても、国民生活は冷え込んだままという日本経済のゆがみの一端がここにあります。

 経済産業省ですら「リストラで人材投資を削減した方が企業利益は拡大する」というのは、「神話」であり、「真実」は「教育訓練費を増加させた企業の方が、結果として、利益や雇用を増加させている」(「若年者を中心とした産業人材育成について」=来年度政府予算の概算要求説明資料)と指摘しているところです。



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