日本共産党

2004年9月6日(月)「しんぶん赤旗」

鉄拳制裁で使い捨てなんて…

ヨドバシ訴訟 証人調べへ

違法派遣など争点に


 ヨドバシカメラ携帯売り場の違法派遣労働と暴力事件をめぐる損害賠償請求訴訟(東京地裁)が大詰めを迎えています。六回の口頭弁論を経て、裁判は証人調べに入ります。

 「法の網の目をくぐり鉄拳制裁で青年労働者を使い捨てる。そんな仕組みにストップをかけるたたかい」と、原告代理人の笹山尚人弁護士。派遣労働者Aさん(27)と母親で作家の下田治美さんがヨドバシ、DDIポケット、派遣会社を訴えた裁判です。

 Aさんは二〇〇二年十月から翌年三月まで東京・渋谷の派遣会社に所属し、ヨドバシの店舗でDDI製品の販売に従事。この間四回、暴力制裁を受けました(別項)。

 裁判の争点の一つが就労実態。Aさんは派遣会社から「DDIとヨドバシに派遣する」といわれていました。違法の二重派遣です。日本共産党の井上美代参院議員(当時)の指摘で調査した厚生労働省も違法と認め、ヨドバシなど各社を文書指導しています。

 ところが被告側は、DDIとヨドバシは代理店契約、DDIと派遣会社は業務委託で、ヨドバシとDDIに責任はないと主張。厚労省の指導文書の証拠提出も拒んでいます。

 原告側は、業務委託や代理店契約なら受け入れ側に指揮監督権がないにもかかわらず、販売員は日常的にヨドバシ社員の指示で働いていると反論。Aさんの元同僚も、それを裏付ける陳述書を提出しています。

 被告側は、息子への暴力で受けたショックで長期の執筆不能になった下田さんの被害との因果関係も否認。その一方で、ヨドバシは派遣会社の存在自体を知らなかったといい、派遣会社はヨドバシとの間で連絡があったと認めるなど、被告間での食い違いも目立っています。

 「暴力で奪われた人間の尊厳を取り戻したい」と訴えたAさん。「見ず知らずの人々が注目してくれているのに驚いた」といいます。

 裁判の傍聴を続けている労働組合「首都圏青年ユニオン」の名取学委員長は「労働者を犠牲に、量販店が一切リスクを負わずに利潤をあげる仕組み。それはヨドバシだけのことではなく、この裁判が改善の糸口になればと思う」と語っています。

 裁判は次回(十月二十日)から証人尋問に入り、原告や会社関係者、医師らが証言します。


 第1の事件(02年11月29日、派遣会社内) ヨドバシからの「笑顔が足りない」との通知を受けて、派遣会社社員が頭部を約50回殴打。

 第2の事件(同12月7日、ヨドバシの売り場) 仕事の手順ミスでヨドバシ社員が、ひざげり数回。

 第3の事件(03年3月13日、派遣会社内) 派遣会社社員が、早出のサービス残業に「遅刻」したとして、約三時間半暴行のうえ、「ペナルティーとしてトイレを磨き、便器をなめさせる」と脅す。

 第4の事件(同14日、下田宅) 前夜の社員が押しかけ、母親の面前で暴行。ろっ骨骨折など全治二カ月の重傷を負わせたうえDDIに連行し「遅刻」について「謝罪」を強要。



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