2004年9月6日(月)「しんぶん赤旗」
【モスクワ=田川実】ロシア南部の北オセチア共和国ベスランの学校占拠・人質事件で、共和国政府は、五日朝までに確認された死者は三百三十八人、うち百五十人以上が子どもだと発表しました。
同共和国の首都ウラジカフカスの遺体安置所には三百九十四体の遺体が収容されたとの情報もあります。また、インタファクス通信は、同日正午まで百九十人が依然、行方不明と報道しました。不明者の大半は児童・生徒です。人質にされていたのは千二百人の児童・生徒と父母、教師といわれます。負傷者も約七百人に達しています。人質の八割以上が死傷するという事態になりました。
約七百人の負傷者のうち、子どもは二百人を超え、重傷を負った約百人は生命の危険にさらされています。軽傷の子どもも、言葉を発しなくなるなど、三日間にわたる極限状態で精神に重いきずを負いました。
ロシア政府は被害者に十万ルーブル(約四十五万円)前後の見舞金を支給。現地にはイタリアから医薬品など支援物資が届きました。
プーチン大統領は四日夕、国民向けのラジオ・テレビ演説で、ロシアが国際テロとの「戦争」状態にあると宣言。学校を占拠した武装集団が要求したロシア軍の南部チェチェン共和国からの撤退などには触れず、統治、治安システムを強化する方針を示しました。
チェチェン共和国では四日から五日にかけ、警察署での爆発や警官の誘拐が起こっています。いずれも独立派武装勢力によるものとみられています。