2004年9月5日(日)「しんぶん赤旗」
【ロンドン=西尾正哉】国際労働機関(ILO)は一日、「より良い世界に向けた経済安全保障」と題した報告書を公表し、「日本では過労死が広まっている。おそらく最も衝撃的な社会的苦痛の指標は、二十世紀の最後の三年間に毎年三万人―交通事故死者の三倍にあたる―も自殺していることだ」と指摘しました。
労働市場に関する章では、日本の失業率が実質的には10%を優に超えると指摘。「失業率の劇的な増加と労働市場の不安定さは、三万人もの自殺者と関連している」としました。
報告書は、労働者をとりまく環境について、「時間のプレッシャーと過労は精神の緊張をもたらす」「自殺は現在では主要な健康問題とみられている」と述べ、「ジャスト・イン・タイム(看板)方式」「QC(品質管理)サークル」などの日本式管理方式が世界的に広まり、労働者は「より過密な労働過程を押し付けられている」と指摘しました。
報告書は、所得の公平性、労働条件の充実、雇用の安定度など、七つの指標をもとに各国の「経済安全保障指数」を算出。日本は雇用保護保障で二十六位、労働者代表保障で二十二位など、総合的な経済安全保障指数では十八位です。
経済安全保障指数の調査対象は、アフリカや中東、アジアなどの世界九十カ国(世界人口の86%)。労働者に対し、よりよい賃金水準や職業教育、職場の安全などを提供している国ほど高い評価が与えられます。