2004年9月1日(水)「しんぶん赤旗」
昨年の総選挙で公明党の坂口力厚生労働大臣(比例東海)を支援した愛知県歯科医師連盟、愛知県医師連盟など医師の政治連盟が総計四百万円余を公明党愛知県本部に献金し、一カ月後にほぼ同額が同県本部から坂口氏の後援団体に支出されていたことがわかりました。坂口厚労相は医師連盟からの献金について「大臣就任中はどんな形であれ受けない」と答弁していましたが、献金は公明党を“迂回(うかい)”して坂口氏側に流れた結果になっています。
これは三十一日に公表された愛知県選管への政治資金収支報告書でわかったもの。
報告書によると、献金額は、愛知県歯科医師連盟=百十万円、愛知県医師連盟=二百万円、名古屋市医師連盟=百万円。総選挙公示前日の昨年十月二十七日から三十一日にかけて公明党愛知県本部に寄付されました。
このほか日本柔道整復師連盟と愛知県柔道整復師連盟も計百三十万円を献金。党県本部への業界政治団体献金は、これら医療関連業界政治団体からの五百四十万円だけでした。
他方、公明党愛知県本部は十一月二十六日に、医師関係三政治団体の献金合計とほぼ同額の四百五万円を坂口氏の後援団体「坂口力と健康を守る会」に寄付しました。
「坂口力と健康を守る会」は、愛知県の医師会、歯科医師会などが坂口氏を支援するために昨年十月結成した団体。同会は総選挙直前の昨年十月十九日に医師会幹部らを集めて決起大会を開き、「比例代表は公明党と書こう」などと気勢を上げました。坂口氏も出席して支援を訴えました。
「守る会」の昨年の収入は会費収入以外は公明党県本部からの四百五万円だけ。
公明党県本部は二〇〇〇年からの三年間、坂口氏の後援団体や政党支部などに寄付金・交付金をいっさい渡しておらず、今回の支出は異例です。
坂口厚労相は二〇〇一年十一月の衆院厚生労働委員会で、「政治連盟からの献金は、大臣就任中はどんな形であれ受けない」と答弁しました。
医師連盟は坂口氏あての献金ではないとし、歯科医師連盟はコメントしませんでしたが、金の流れからみると「受けない」はずの献金とほぼ同じ額が坂口氏側に流れたことになり、疑念を招く結果になっています。
坂口氏は、週刊誌で「迂回献金」が報道されたさい、国会で「愛知の公明党の方から、最初の運転資金というか運用資金というか、何がしかのお金を(後援会に)振り込んだのは事実だが、う回献金とは全く関係ない」と答弁しています。