2004年9月1日(水)「しんぶん赤旗」
総合重機の大手、石川島播磨重工業(本社・東京)がE職とよんでいる設計や技術系の課長代理を時間外手当を支払わない「非時間管理」にし、サービス残業(ただ働き)を強要していましたが、今年四月にさかのぼって未払い残業代が支払われることが明らかになりました。日本共産党石川島委員会や党国会議員団、職場労働者の粘り強いたたかいで実現したものです。
石播は二〇〇二年一月、成果主義賃金制度を導入した際にこうした制度を設けました。管理職の指揮下にあり、自己裁量権もない労働者に労働基準法第四一条二項の「管理監督者」を適用し、月六万円の手当(四月からは10%カットで五万四千円)だけで、いくら残業をしても割増賃金を支払わないという身勝手な制度です。約二千人に適用し、「管理監督者」を水増ししました。
導入後の残業時間の実態によると、六十時間から百時間を超える残業をしていたE職もいます。
今回の措置により、六十時間の残業をしていたE職は、手当を除き月に十六万円前後の差額支給になります。
党委員会は、E職の職務実態は労基法の「管理監督者」にはまったく該当せず、「非時間管理」として扱うのは違法であると主張。東京労働局や労働基準監督署に申告、再三要請して運動を広げてきました。労基署も石播に調査に入りました。
国会では今年二月、山口富男党衆院議員が追及し、坂口厚労相が「よく調べさせていただく」と答弁していました。
石播は八月十日、人事部長名で通知を出しました。「昨今の行政指導においては、労働時間の法的規制を受けない管理監督者として認められるためには、勤務制度のみならず経営的立場の権限など個別に客観的条件を整えることが求められている」とのべ、労基署の指導で改善を余儀なくされたことを明らかにしました。
労働者からは「よく是正させたものだ」との声が寄せられています。
党委員会が発表した見解は、職場からサービス残業を根絶していくうえで大きな前進と評価。労基法違反を事実上認めた以上、導入時の〇二年一月にさかのぼって適用除外にすべきだと指摘し、「ルールある職場」を確立してこそ労働意欲や活力もわき、「企業再生」の展望も切り開くことができるとしています。
「自分でつくった目標の達成度で評価される仕組みで、競争し努力してよい成果をあげれば報われる」などをうたい文句に、導入されている賃金制度です。しかし多くの労働者は恣意(しい)的な評価で賃金引き上げもままならず、賃金が不安定化します。職場内での競争はチームワークを乱し、業務の円滑な運行を阻害するなど、矛盾が広がっています。